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【L-lab:全身帯電少女】リリィ

ここに来たってことは、無事眠らずに済んだんだね!フランちゃんあれでもちょっと前まで戦闘経験なかったんだからね?すごいよねぇ。 さて、今いるメンバーの中では、この子が最後だね。さっきちらっと言ってしまった子。リリィちゃん! すっごく特別な子だよ。 リリィちゃんはね、うちの子たちの中で、唯一Lを打ってない子なんだ。そう、生まれつきの能力で戦ってるんだ。 リリィちゃんは、全身に強めの電気が流れてる子でね。…産まれた瞬間、お母さんは亡くなっちゃったんだ。お父さんはいない。いたはずなんだけどね。 産まれたばかりなのにリリィちゃんは孤独になった。でも、拾ってくれたのかな?誰かがリリィちゃんを養ってくれたみたいで、物心つくくらいまではちゃんと里親がいたんだ。 ある日、事故が起きてね。そろそろ学校とか、考えなくちゃいけない時期だったんだけど、リリィちゃんの体の電気で、里親さんを傷つけてしまったんだ。 すぐに病院に運ばれたよ。里親さんが帰ってくるまで、お家でずっと待ち続けた。 …でも、里親さんは帰ってこなかった。 亡くなってしまったのか、リリィちゃんを捨てたのかは私は知らない。私は里親さんが誰かも分からないし、リリィちゃんも覚えてないみたい。 だから、実はリリィちゃんはずーっと孤児院にいたんだ。その…言い方は悪いけど、電気のせいでね、リリィちゃん怖がられちゃって、全然馴染めなかったの。遊び相手がいなくて、一人で本を読んだり、ご飯も一人。そんな生活を10年くらい。想像出来る?周りにたくさん人がいるのに、避けられ続けて、無視されるリリィちゃんの気持ち。 だから、今ほどリリィちゃんって今ほど明るい子じゃなかったんだ。大人しくて、物静かな子。本を読んだり勉強したり…、一人なのによく頑張ってた。 …リリィちゃんから直接聞いたのかって?そういう訳じゃないよ。こんなことリリィちゃんから聞けないよ。 私もね、リリィちゃんと同じ孤児院で育ったんだ。年は離れてたけど。ほら、私死神でしょ?だから電気があっても大丈夫!私はリリィちゃんのそばにいてあげられた。だから、リリィちゃんのことはよく知ってる。5歳くらいから、今の今まで、ずっと面倒見てきた。 私が今のプロジェクトを始めるくらいの時に、リリィちゃんを引き取った。1年くらい前かな。実は、イルちゃんとかアリアさんが研究所で過ごすようになる辺りには、リリィちゃんは私のお家にはいたの。リリィちゃん、私以外の人はあんまり得意じゃなくて、研究所のみんなに紹介しようとしたんだけど…、「やだ、お家にいる。」って言うから、つい最近までみんなには会わせてなかった。 その代わり、研究所のこととか、出来事をたくさんリリィちゃんに話してあげた。あんまり反応は返ってこなかったけど、ちゃんと聞いてくれてた。 そして3ヶ月くらい前。リリィちゃんが「僕、研究所に行ってみたい。」って言ったの。私少し感動しちゃったよ。苦手を克服したい。私のお手伝いもしてみたい。ってね。 研究所に行く前に、リリィちゃんとお話の練習した。私から「いっぱい笑って!」ってアドバイスもしてあげた。 取り繕ってただけかもしれないけど、ちゃんと笑えるようになったし、少し明るくなった。 研究所に行って、みんなとご対面。実はみんながいる前から私の元にいましたっていうのは隠して、「施設見学の子が来たよ」っていう風に紹介した。あの時のリリィちゃん、私の横に立って、すごい頑張って笑顔作ってた。すごく震えてたけどね。「リ、リリィです…!こ、こんにちは!」って。 うちの子たち、みんないい子だからさ、初対面のリリィちゃんに優しく接してくれてね。…もしかしたら、リリィちゃんがまだコミュニケーションが得意じゃないって言うの、気づいてたのかも。当時のナクアさんは、リリィちゃんとはお話してなかったかな。ナクアさんもまだコミュニケーションが苦手だったから。 リリィちゃんと一緒に研究所の中見て回ってたら、ちょうどナクアさんが戦闘訓練しててね。リリィちゃん、目をキラキラさせてナクアさんのこと見てた。「かっこいい…!」って、私はちょっーと嫌な予感がしたけどね。ふふ。 そこから1週間くらい、リリィちゃんを研究所に連れて行って、うちの子たちとか、施設の中で色々経験させた。リリィちゃん、本当は色んな人とお喋りしたかったんだろうね。1週間で見違えるくらい明るくなってさ。もうすっかり研究所にも馴染んじゃった。 そして、私の嫌な予感は的中した。「僕も、みんなと一緒に戦う!」って言い出した。これ言われた時、なんて返そうか考えとくの忘れててね…、「とにかく危ないし、大変」ってことは伝えたんだけど…、「僕ならできる!この電気さえあれば、みんなにも負けない!」って、目をキラキラさせて、やる気に満ち溢れた顔をしてた。 私ね、リリィちゃん、すごい子だと思う。辛い環境を耐えて耐えて耐え続けて…、自分のやりたいこととか、目指すことのために一生懸命努力してさ。…断れなかったよね。でも、私はリリィちゃんならできるって信じた。今、信じて良かったって思う。 その後、リリィちゃんを研究所に連れて、「正式に部隊に配属されることになりました」って伝えたらさ、みんな心配が勝っちゃってて…特にアンレスさんね。 「本当に大丈夫…?こんな小さな子には酷じゃないかしら…」って。でもリリィちゃんは「大丈夫!僕やれる!」って言うから、アンレスさん、面倒見の良さと、同じ戦闘未経験者としてやる気出しちゃって… 「ふふ…頼もしい子ね。いいわ。訓練に慣れるまでは私が一緒についてあげる。」って。アンレスさんも成長したなぁ… 正直、リリィちゃん、戦闘訓練すごく苦労してた。今まで運動してこなかったからね…。そこで、初めてナクアさんとリリィちゃんが出会った。 「リリィさん…でしたか?申し訳ありませんが、見ていられないので、私も指導に加わります。」って。言い方よねぇ。でも、ナクアさんってリリィちゃんの憧れの人だったから、喜んでたよ。「やったあ!よろしくお願いします!」って。 アンレスさんの優しい指導とナクアさんのスパルタ教育のおかげで、リリィちゃん、ものすごく強くなった。2人もだけど、リリィちゃんの努力、ほんとにすごい。一番の成長は自分の電気をオンオフしたり、調整できるようになったこと!リリィちゃんの唯一の弱点がこれでなくなったの!ほんと、すごいよ。 そこからだったね。リリィちゃんとナクアさんが喋るようになったの。最初のうちはリリィちゃんが一方的にお話してた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ナクアさーん!今日もよろしくね!」 「…。」 「もー!ナクアさん可愛いんだからもっと笑いなよ!」 「な…にを言って…!?」 これが最初のナクアさんのお返事。顔を赤くしながらのね。リリィちゃん、コミュニケーションが苦手だったから、同じ人の扱い方がわかるんだろうね。私と同じこと言って…。もう…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー そこから二人はよくお話するようになってね。ナクアさんの中身の話とか、リリィちゃんすごく気になってたみたいで、いっぱいお話聞いてくれるリリィちゃんに感化されて、ナクアさんもいっぱい喋るようになった。どんどん距離が縮まっていって、今じゃ恋人…って、何を書いてるんだ私は?見なかったことにして!しー!はぁ…、嫉妬しちゃうな。あぁ、大丈夫!むしろナクアさんには感謝してるから。 私がリリィちゃんを救って、リリィちゃんがナクアさんを救ってくれた。やっぱりリリィちゃんは私にとって特別。うちの子たちのムードメーカーで、同年代のイルちゃんとか、ぷるぷる姉妹の2人とかとも仲良くしててね。アリアさんはちょっと苦手みたい…。 「アリアさん…難しい言葉多いよー…」って。 膝から崩れ落ちるアリアさん、久々に見た。 リリィちゃんはね、とても明るくて、とても不思議な子で、とても天然で、とてもいい子。 そして、私を救ってくれた子。 さっ、長話はこれくらいにして!リリィちゃんの電気、すごいんだからね??本気の時は雷くらいすごいんだから!やられないように気をつけてね。 じゃ、行ってらっしゃい。