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【魂の管理人/可愛くて善良な死神】ノア

私は今日もこの世界に降り立ち、この世界を放浪とする ある時、珍しい事に一人の男の子が私に話しかけてきた 赤面した様子で、私に「お姉ちゃん迷子?」と話しかけてきた 「……うん。迷子なんだ」 私が見える と言うことは、この子の死期は近い 死期をずらすなんて事、できない この子の死は絶対的な物だ 「それじゃあさ、僕と遊ぼうよ」 楽観的に私にそう言う。年相応で可愛らしいと私は思った 「いいよ。なにする?」 「う〜ん……鬼ごっこ!」 「お姉ちゃんが鬼ね!」 「……うん。いいよ!」 私は悟ってしまった この子は交通事故で死ぬ 「10数えてね!」 男の子はそう言うと意気揚々と走り出した 私は違和感を覚え、胸がキュッとした 「うん!1、2、3、4、5、6……もういいよね」 私は、男の子に向かって走り出した 足に自信があった私は、男の子を全力で追いかけた だけど、その差は埋まらずに逆に引き離されていく 「速っ…!」 体力には自信がない私は、耐久戦に持ち込もうとかは思わなかった 「ゼェ…ハァ…」 私はすぐに息切れしてしまう 「ま…待って…」 力弱く私はそう吐き捨てた 「お姉ちゃん遅〜い」 「君が…速すぎるんだよ…ハァ…ハァ…どんな体力と脚力なの…?」 「お姉ちゃん、ちょっと休憩したらもう一回遊ぼ!」 「いいよ…リベンジマッチだ…」 私と男の子はベンチに座ったけど、他の人も座っていてスペースが無かった しょうがないから、私は男の子を膝の上に乗せる ……あれ? なんで私、この子に触れられるの? 「お姉ちゃん…ちょっと…恥ずかしいんだけど…」 「あぁ、ごめんごめん」 私はそう言うけども、退けるつもりはない 「……お姉ちゃん名前は?」 「名前?…名前なんてないよ」 「無いの!?」 「うん。君は?」 「僕はノア!ノア・ハンドリューって言うんだ!」 「ノア…いい名前だね」 「でね、お姉ちゃん、明日も遊んでくれる?」 「うん。毎日ここに来るね」 「うん!」 毎日ここに来るらしい… だけど、彼はすぐ死んでしまうだろう なんせ、私が見えるのだから ……と、私は思っていた 彼との出会いから2年が経っていた 彼は現在中学1年生だ 「お姉ちゃん!どう?俺の制服姿!」 「似合ってるよ。格好良くなっちゃって…」 「あ、卒業式が始まっちゃう!お姉ちゃん!またね!」 「行ってらっしゃ〜い」 時刻は7時40分 いつも通りの公園で彼を見送った 彼は、勢いよく走り出した 一瞬の出来事だった 彼は、車に詰め込まれ、何処かへと連れて行かれてしまった 呆然と私は固まる ハッとすると私は車を飛んで追いかけた 彼は怯えたように口をガムテープで封じられている 可愛い。私はちょっとそう思ってしまった 車は人通りの少ない所に止まった 私は、空から陸に降りて、堂々と彼らに迫る 「いつからそこに居たァ!女!!」 彼らにも私は見えるらしい と言うことは…… 恐らく、彼らは私が原因で死ぬのだろう 「そこを動くなよ女…動いたらこのガキを殺す…!」 私は、動けない 動いたら彼を殺されてしまう 「そうだ…そのままじっとしていろ!」 銃のトリガーに指が掛かったまま、彼は銃を突きつけられる 「ノア…!」 「あぁ?このガキの名か?可愛い名前だなァ!」 男の仲間が彼を叩く ノアは痛そうに涙を流した 男達は彼をいたぶった 許さない 許さない なんだか、感情を制御できない 私は、ボソボソとカウントダウンを開始する 0になった時、男達の魂を抜き取った しかし、男は銃のトリガーを引いてしまった 銃弾が彼の頭を貫いた 「ノア!」 私はすぐに彼に近付き、ガムテープを離した 「ヤダ!まだ死なないで!」 「私、今気づいたの!ノアの事が好きだって!」 「ノアの事が好きで好きで仕方ないって!」 「お姉ちゃん…最後の言葉…聞いて…」 「最後なんて言わないでよ…もっともっと一緒に居たいよ…」 「お姉ちゃん…俺の…僕の名前を…継いで…」 「お姉ちゃん…名前…無いんでしょ…?」 「僕の…名前…使って…」 「うん…分かった…」 ノアは、そう言い終えると、脈が止まり、冷たくなってしまった 彼の名前は、私が引き継いだ