昔からましらは山神として信仰されてきた。彼も自分を崇める村人のため、神としてできる限りのことをして村人達のために働いた。ましらのお社は禁足地とされていたが、山神などバカバカしいと思っていた村の子供達が忍び込み 「どうせ山神など存在しない、居るんなら出てこい」 とましらのお社を壊してしまった。ましらが子供達の前に姿を現すと一目散に子供達は逃げた。 それについてましらは全く気にしておらず、むしろお社に来てくれる村人はほとんど居なかったため嬉しいとも感じていた。 その後、村ではお社を壊した犯人探しが始まり、ましらの怒りを買ったかも知れないと村は大騒ぎになっていた。 子供達は自分が壊した犯人だとバレたらどうなるかと震え、言い出すことなど出来なかった。 その日の夜、山から流れる川が氾濫(ましらはこの氾濫に一切関わっていない)し、多くの死者が出た。 生き残った村人達はましら様の祟りだと叫び、犯人探しをさらに追求した。子供達ももう白状した方が良いのでは無いかと思い、代表してお社を壊した子供が大人達に話そうとした。 その時、他の子供達は 「その子がやった、私達は知らない」 と言い出した。鬼気迫る村人達はその言葉を信じ、子供とその家族にましらを鎮める役割を押し付けて村を捨てて出て行った。 そんなことがあったなど知らないましらは、村人達が自分を捨てたと思い込み、それでもなお村人を信じてお社で長い年月を待ち続けた。だが月日はましらの心をすり減らし、寂しさと憎しみを募らせ、祟り神にしてしまった。 崩れたお社から這い出たましらは、手始めに村を捨てた奴らを皆殺しにしようと考えたが、ある人間に妨害される。 ましらは人間などに阻まれた事に腹を立て、自分の神としての力を使ってまで殺そうとする。しかし、既に山には結界が張り巡らされ、弱体化していた。 ましらを抑えた人間は「弱っているとはいえその力を危険だ。預からせてもらう。」 と言い、ましらの力のほとんどを奪い、山に封印した。 最後にその人間が、 「私の先祖に代わり、心から謝罪する。」 という言葉は憎悪と怒りに支配されたましらの耳に届く事はなかった。