彼は戦う、今はまだ守るべき民はない。盾は守るべきものを定められず、何を成すべきかわからないまま、剣と槍が交わる戦場に立つ。 【アイギス】、アテナがその身に宿る際引き継いだ神器。その盾に内包された莫大なまでの神秘は「死んだ神を武器に組み込んだ」際に、神を構成する神秘が依代として盾に付着したものである。 また、アイギスに組み込まれた神、気象神とは変幻自在な神であり、ありとあらゆるものに姿を変えることが出来るという。それが何であれ、例え「この世から存在が抹消されたモノ」でもその形や効果を再現することができる。 『滅光』とは、全てをのみ込む創世記前に生み出された原初の『光』である。簡単に言えば、「黒に染まらず、黒を塗り替える白」。生み出した創造神にとって、最初に作り出した『光』は今後地上に住まわせる全ての生き物だけでなく、自身(神)にも害を与える危険極まりない『失敗作』であった。 そして、そのような『モノ』などこの世に初めから「存在しなかった」ように、新たな光と共に世を作られた。 イージス・グローリア。 【アイギス】を《神弓 ヘタイノヴァ》に変形し『滅光』を矢として放つ、今はまだ未完成の技。 いつの日か、その一射は空を裂き、光を裂き、山をのみ込み、11柱の神を殺す。人間が新たに始める、「自分(人間)たちの道」を照らす新たな『光』(ゼロ)となるだろう。 もちろんその事は彼を含め誰一人、神でさえ知る由もない。