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【幼い頃に歪められた認識/暴力を愛と信じる少女】フィルド・ロブ=ノット

彼女は幼い頃。いわゆる虐待に合っていた。 両親はギャンブルに酒タバコと、金を悲惨に使うアソビばっかりしていた。 フィルド。その名付けられた言葉の意味とは反対に彼女はいつも空腹、空虚。そして空想に浸っていた。 両親から愛という物を明確に受け取った事がなかった彼女は空想に浸っていた。 虚ろな目をしたまま常に妄想の中に居た。現実からは目を背けて常に空想上でだけ生活をしていた。 食料も与えられた。しかし最低限。 3日に一回だけ。一食分。 その時だけはフィルドはご飯だろうがパンだろうが掻き集めた。 米一粒も。パンカス一粒も残しはしなかった。 食後は身体が熱くなる感覚を覚えていた。しかしその食事まで体力を保つ為フィルドは普段ピクリとも動かなかった。 ただ空虚な妄想に浸っていた。 妄想の中で父と母ではない両親と共に食事をして、存在しない両親と共に遊んで、空虚な両親に優しく包まれながら眠りに落ちる。 ただそんな普通な生活の妄想を。 しかし現実で状況を悪化させる事象が起こる。 両親の離婚だ。 彼女は順当に母親に親権が渡った。 母親はそれ自体はどうでも良かった。腹の虫がおさまらない母親は彼女をストレスの処理所として扱った。 それから母は気に入らないことがあると全て彼女のせいにしてその怒りをぶつけてきた。 ギャンブルに負けたから私を殴る。仕事が見つからないから私を蹴る。 挙句の果てには元夫を思い出したから彼女の首を気が済むまで締め上げた。 その頃は5歳くらいだった。 幼少の頃に大人の打撃は苦しかったのだろう。それに人格形成をする大事な時期だ。 それ故に誤解を生んだ。 彼女はそれをどうしてするのか…辿り着いた答えはこうだった。 「これが普通なんだ!これが一般的な愛の形なんだ!」 彼女は結局子供だった。嫌いな母でも愛されたら嬉しかったのだ。チョロい。 その思いは留まらず遂には苦痛を快楽と勘違いして殴られる毎に興奮/発情し濡らしていた。 でも度々母親に過剰な愛で殺されかけた事もあった。 彼女だってさすがに死にたくはない。 魔法を使用しても傷ごと快楽を消してしまう。 でも使用しないと死んでしまう時もあった。 志方なく死に値する傷は癒やしていた。 彼女は持続する快楽を求めた。その末に『最限再生』が発現した。 これからは地獄ではない。天国の始まりだ。 私は歪んだ笑顔でそう想いを馳せた。 ーー 個人スキル『最限再生』  (アンチ・セーフティコレクション) 死に値する傷だけを治す個人スキル。支援系である。 死に値する傷とは自分が判断するのではなく世間一般的に見てどうか。という所である。 この個人スキルは一定の傷だけを治す為体力の消耗が少なく常に発動する事ができる。 また、他人に使うこともできるが、その時は再生力が下がる。 基本的に0.5秒あれば治癒が終わっており他人に使うと1秒掛かってしまう。 この個人スキルに弱い点として窒息が挙げられる。 あくまで死に値する外的要因なので酸素がなくなり窒息などはどうにもできないのである。 また、一撃必殺に対しては外的要因なので仮死状態となって耐える事ができる。0.5秒後に再生する。 毒などは治してくれる。