【炎の小悪魔】ミフィは、これまで自身の欲望の赴くままに生きてきた。人間社会では嫌われ者として扱われ、その憤りから次第に悪魔の力を振るうようになっていった。炎の魔法を操り、憑依の術で人々を翻弄するミフィは、周囲から恐れられる存在となっていた。 ある日、ミフィは偶然、路上で倒れ込む怪我をした人間の子供を見つけた。気まぐれから、ミフィはその子供の世話を始める。子供の無垢な笑顔に触れるうち、ミフィの心にも徐々に愛着が芽生えていく。これまで知らなかった温かな感情に包まれ、ミフィは自身の行動を振り返るようになった。 そして、ミフィは子供を元の村に送り返すことにした。子供の家族に会わせてやりたいという思いからだった。ミフィと子供は村に着くと、偶然そこにいた勇者に出会う。勇者は、魔物であるミフィが子供を誘拐したと勘違いし、子供を守るためだと称して、ミフィに斬りかかってきた。 必死に抵抗するミフィだったが、勇者の剣は鋭く、ミフィの炎の魔法も通用しない。次第に力が尽きていくミフィは、ついに倒れ伏してしまう。最期に子供の笑顔を思い浮かべたミフィは、今までの自分を悔いながら、静かに息を引き取った。 欲望に溺れ、周囲から恐れられていたミフィだったが、たった一人の子供に出会うことで、自身の内に眠っていた優しさを発見することができた。そして、その優しさゆえに、ついに命を落とすことになるのだった。