「すごいなシャオメイ…いつの間に練習したんだ?」 「えへへ…射撃練習する時の父さんカッコいいから、私も父さんみたいになりたいと思って!」 そう言ったら、父さんは悲しそうな顔をした。 「シャオメイには…父さんみたいな危ない仕事をしてほしくないな」 「でも父さんの事、みんな立派だって言ってるよ?」 「立派じゃないさ、ただの……」 その少し後… 小さな戦争があって、父さんは招集され…帰ってこなかった。 「すまない…これを持ち帰るので精一杯だった」 「そう……ですか……」 父さんの親友、ダグおじさんが持ち帰ったのは父さんのボウガンと望遠鏡。 それと…… 「軍人の妻として覚悟はしてました……してたはずなのに……」 母さんと私への手紙だった。 そこには、戻らなかったことへの謝罪と、日ごろの礼が書いてあって…… 『シャオメイ、母さんを大事にしてくれ』 そう、最後に書いてあった。 それから私は母さんを助けるため、勉強しながら働くことにした。 幸い、父さんに鍛えられていたし、仕事には困らなかった。 でも…ひとつ不安があった 「ダグおじさん、また行っちゃうの?」 「ああ、今度は西がきな臭くなってきたんでな」 私がいる国は大きな国に挟まれていて、つねにどこかと戦っている。 (父さん言ってたっけ…いつか戦争の無い場所で暮らそうって) 父さんの夢を思い出した私は、父さんの書斎へ… 本棚を眺めていると……付箋だらけの本で目が留まった。 それは有名な冒険者の旅行記だった。 「平和な国…父さんは行ってみたかったのかな」 付箋の張ってあるページに書かれていたのは、どれも過ごしやすそうな国の事… (この国じゃ、平和に暮らすのは難しいのかな…?) 母さんと別の国へ移住…そんな事を考えるようになったある日、あの噂を聞いたんだ。 「エイアイ大陸開拓団…?」 開拓して、そこに母さんを呼んで…戦争の無い場所で暮らせるかもしれない。 開拓団の事を話したら、母さんに反対された。 「私のことはいいから…自分のやりたいことをしなさい」 母さんは私を心配している。 それは嬉しい、でも… 「私…父さんの夢を、代わりに叶えてあげたいんだ!」