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【悲青の亡命騎士】 フォルデナ・イスラット

彼は失態を犯したわけではない。 全く関係のない濡れ衣を着せられただけだ…。 数日前、彼は任務の帰りに夜道を歩いていた。 お察しの通り、闇の中から突如として刺客が襲ってきた。壊滅させたはずの組織の残党がまだ残っていたのだと思った。 武術に関する能力は自分よりも圧倒的に劣っており、一瞬で制圧できた。 それが全ての始まりだった。 その者達の素顔を見ると驚いた。同時に、大きな後悔が押し寄せてきた。 彼らは、昔の戦友だった。それも大きな負傷で戦闘を継続できなくなった方の…。 彼らもやりたくてやった訳ではないだろう。恐らく金で雇われたのだ。 私は一般人を殺した罪に問われるだろう。 友を殺してしまった。その後悔の大きさは計り知れないものだ。 しかし、一般人を殺してしまったとしてもこれは事故であり、正当防衛である。 王もこれまでの貢献からも私の事を信頼してくださっている。 主張すれば認められる。 そう思っていた…。 その信頼していた王の口からは驚くべき言葉が出てきた。 「今すぐ私の前から立ち去れ、不敬者。貴様の顔など二度と見たくもない。今までの功績がため死刑にできんのが残念なくらいだ。さっさとそこらで野垂れ死ぬんだな。」 私は全てを悟った。王は私を殺すために我が友をけしかけてきたのだと。 大きな憎悪とともに、後悔が私を襲ってきた。 私は、どうすれば良かったのだろう。 そう心のなかで自らに問い詰めた。 私は国から追放された。行く宛もなくただ、彷徨った。 気づけば隣国のテントリス王国に着いていた。 どうせ、私には何も無い。 もう…どうでもいいか………こんな人生…。 そう思って暗い路地の中誰にも見られぬ場所で人生の幕を閉じようとした。 剣を自らの首にかけた瞬間。その剣は弾け飛んだ。 「貴様、自分が何をしようとしているのか分かっているのか!」 それが、私の恩人。アフィリス・ストロス・テナトリアとの出会いだった。 初めて彼と会ったとき、彼の目頭は熱くなっているように見えた。 何故だろう。私には到底理解できなかった。 彼は私に沢山の質問をしてきた。 私は外部の国から来た人間であることから、今までの自分の身に起きたことの顛末まで、洗いざらい話した。 どうせ信じてもらえる訳が無い。話したところで無駄だろう。そう思いながら、話が終われば何が何でもこのどうでもいい、無色の人生に別れを告げると決めていた。 なのに彼は涙を流し、信じてくれた。 そして笑顔でこのように、声をかけてくれた。 「君は…何も悪くない。」 それは、私が一番欲しかった言葉だった。気づけば枯れたはずの涙が溢れ、止まらなくなっていた。 その瞬間、私の人生に色が付いた。そんな気がした。 アフィリスと出会っていない場合のifの姿:https://ai-battler.com/battle/ca64c236-4c9f-4450-a446-926f4db723c7