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【F-05-32】暖かい心の木こり

友人たちは皆、何かが欠けており、共に願いを叶えるための旅に出かけた。 かかしは知性、ブリキの木こりは心、臆病なライオンは勇気を欲した。 そして、ドロシーは自分の家族の元へ帰りたかったのだ。 ついに木こりたちは偉大な魔法使いを見つけた。 だが、木こりが受け取ったのは無価値な鉛の心だけだった。 「しかし、お前は機械だ、機械は人間のために作られるものだ。 分からないか? 機械に心は必要ない。だが、ここまで来たのはご苦労なことだったな。 これを受け取れ、与えられるのはこれしかない。ぜひ、自分の願いが叶ったと皆に伝えたまえ。」 友人たちは満足して去っていった。彼は友人たちと顔を合わせるなんて、とてもできなくなった。 鉛の心があまりにも硬くて冷くて悲しかったから。木こりは納得できなかった。彼は怒って斧を振り回し、魔法使いの胸に振り下ろした。 魔法使いの心臓は暖かく、力強く鼓動していた。彼は魔法使いの胸の穴を鉛の心臓で埋めた。 その壮大な光景に木こりは初めて笑い、かつてない喜びを感じたのだった。 今や木こりは手当たり次第に心臓を胸の中に仕舞っている。 どれだけの心を胸に入れてもまだ足りない。 かつて木こりと呼ばれた男は、今は木でなく人を切る。 随所に数多くの心がある森。切っても切っても依然として森は鬱蒼としている。 心の暖かい者ほど、その心臓も暖かい。 心臓が零れ落ちると、木こりは絶望して膝から崩れ落ちるだろう。 空ろな心だけが胸に埋まったまま。 それが彼に残った唯一のもの、それをどうして奪うことができるのだろう?