とある世界。そこは紛争、内乱、環境問題、その他様々な要因が積み重なった事で、人々が信じる事を諦めそうになってしまった場所。極秘に進んでいた研究の成果が遂に完成した。 多くの者が力を有し、持て余すほどにありふれた欲望。その代償を回し続けるゲームを終わらせる為、この世界をかつてのように、いやそれ以上の“楽園”へと造り替えるための鍵。多くの者を救うために、彼女は生み出されたのだ。その身体は我々と同じ人間でありながら、“永遠“の生命を有する機械でもあった。その身に宿された力、それは世界を変える魔法。人の願いや本質的欲望を叶える絶対的なエネルギーである。この日、人類は初めて踏み込んではいけない領域に立ち入ってしまったのだ。 彼女には自己決定の意思が無かった。他がために生まれ、願いを受け止める事以外に何も知らぬままその力を使う事を研究者達は望んでいた。人間の様な仕草でもありながら、無機質で空虚。果たしてそれは生きていると言えるのか?今を生きる彼らに考える余地など無かった。 数々のテストを終えた彼らに待ち受けていたのは、想定外のトラブル。彼女の情報が外部に流出してしまったのだ。当然、その力の存在を知った者は一斉に騒ぎ立てる。希望を見出す者、流石に出鱈目だと思う者、排除しようとする者。多くの人々に受け入れられるはずのない彼女の存在と彼らに寄せられた奇妙な信頼は、人々の不信感を煽るには十分すぎた。