初観測は2900年。地球に魔物が現れてから約800年、荒れ果て、植生が変化したドイツの地に降り立った悪魔。 ラクドス・パール。 パールの能力は細胞の改造で、一度触れればその生物の進化の顛末を見ることが出来る。この凶悪な能力は、之まで数多の命に終焉を齎し、また八百万の命に発端を与えてきた。 魔人国家アーバンタイは後者のパターンで、最も成功した例だ。 今では学業栄える知識の都だが、パールの通例を大きく超えて長く存続し続けている。 それはパールとある契約を結び、ラクドスの巨樹にコア諸共埋め込むという所業をやってのけた先人達の知恵のなせる技だ。 「生きとし生けるものは皆、最後は一つの形へと収束するのです。貴方は知らないでしょうが、何億年、何光年離れていても結局はそうなるのですから、何を拒むことがありましょうか。皆はひとり、ひとりは皆。全てが繋がっていて、全てが一つに向かっている。…ふふふっ、悪魔の言うことは信用ならない?いずれにせよ、あの樹の中で、貴方を待っています。ずっと。ずっと。」