ビジーは生前、ギャングであった。 麻薬、金貸し、用心棒。ひと通りの仕事は人並み以上にこなすことができる優秀なギャングだった。このままギャング・スターになるのも時間の問題。そう思っていた。しかし、ビジーにはギャングスターに必要なものがたったひとつだけ欠けていた。 ー仲間の声を聞く力だ。 ロックが大好きなビジーは一日中ウォークマンを手放さなかったし、ラジカセだって最大音量でかけっぱなしだ。耳でメタリカを聞き、心でキングクリムゾンを聴いていた。 だから気づけなかったのだ。 ある昼下がり、自分の質素なアパートの一室でいつもの通りにロックな気分に浸っていたのだが、突然、いつもと違う重低音がした。バンッと、衝撃を伴ったバスドラムだった。 直後、ロックが鳴り止んだ。 その後デスランドで目を覚ました骸骨は、自らの骨を銀色に塗り、レザーのジャケットを新調し、エレキのギターを手に取った。このアンデッドだけの楽園に送ってくれた弟分達への感謝を忘れずに、今日もメタルなハートでロックンロール! 「ヘイヘイヘ~イ!盛り上がってるか~?もげるまで頭振ろうぜ~!!」