こんな事を生業としている以上、人の死に狼狽える暇は私にはない。 だが人が死んで構わないと思ったことは一度だってなかった。私に愛する者が居たように、彼等にも大切なものはあっただろう。だがそれがお互いに尊重される事は決してない。『国の為』、我々は血で血を洗い、途方もなく誰かにとっての大切を奪い合うのだから。最低限私がしてやれることは、失った部下と奪った命を忘れずに、いつか来る平穏の時に哀悼を送ることぐらいだ。 我々が行っていることは殺人だ。 敵国とは言え、 その事実をゆめゆめ忘れるな。 そうだろう…ツバサ。