ーー同日、魔法少女管理事務局内にて 「以上が彼女の現在の全詳細です。」 部下からの報告が終わる。 「なんだこれ、、『せりか』、、大事な所が伏字になってるじゃないか、、」 報告書の内容を見て唖然とする。 これほどまでに秘匿されている魔法少女なんて今まで見たことがない。 「どうやら上からの要請だそうですよ、先日行方不明になった魔法少女の部屋から見つかった日記も今検閲中みたいですし……何かしら関係してそうですね」 魔法少女の行方不明も今に始まったことじゃないし、検閲自体もこの組織が立ち上がってから常にそうだ。 「一体どうなってやがる、、1人の魔法少女にここまでの厳重な規制、情報が出回るとまずい系か?」 オレはそう言って頭を抱えていると、1人の管理下の魔法少女「コンバット☆サファイア」から突然連絡が入る。 「おう、どうしーー」 「助けて!早く!私をなおして!お願いだから!」 応答を遮る程に逼迫した、余裕のない声。 とても普通じゃない出来事に、他の救援要請を出さずに反射的に自ら赴く。 「ちょっと部長!一般人が行ってもーー」 オレは肩で息をしながら連絡があった現場に到着した。 監視カメラもない路地裏だ。 「おいおい、、なんで誰もいなーー」 誰もいない。 そう言おうとした瞬間、以上な光景を目の当たりにする。 連絡を受けた当人はいない、代わりに名前も知らない黒髪の少女の死体と、桃色の髪をした謎の少女が、手に何故かこちらが支給した端末を持って壁にもたれかかっていた。 「ーーお前、誰だ」 「……私?私はねぇーー」 なるほど、道理でハッキリした。 上が隠す理由も、こいつの脅威も。 知られたらまずいんじゃない、 知ったらまずいんだ。 知ったら誰もこいつを相手しなくなる。 知ったらこいつは1人で死ぬ。 死んだらこいつはーー誰に対して言葉を紡ぐ? 嫌な想像が浮かぶ。 もし、集合無意識に干渉すれば もし、この星に対してそう言えば その予感に血の気が引き、恐怖が体を震えさす。 「人類が……星が……何もかも……」 これは、隠さなければいけない 事前に知られず、誰かに犠牲になってもらわなければいけない。 「おじさん、大丈夫?辛いの?」 名前も、何もかも、彼女の全てを隠して 「辛くても、生きて!私がいるから!」 オレは端末のログを全て消去し破壊、電源の入っていない無線を壊し、彼女に銃を突きつけて引き金を引く。 「ありがとう、せりかちゃん」 魔法少女せりか 本名:彼岸 芹香 組織設立時からマークしている魔法少女 今のせりかは何代目かも不明。 魔法少女や一般人の行方不明者を加味しても千を超える 能力は『永劫変換』 対象が狂気に染まり、自己を保てなくなるまで蘇生を繰り返す。 弱った所を成り変わる、自己複製型魔法。 対象は無機質にも及び、落石事故で死亡した785代目の彼女(過去のデータベースから参照)が岩を自身に変換する所を確認。 元の願いが反転し、「最終的に自分だけになれば生命は死なない」と言う形になった末路。 反転前の力は『無限コンテニュー』 自分や周りを元の状態で蘇生するものだった。 希死念慮を持つ友人に使ったある日、死ねない怒りにより最初のせりかを殺害。 何度も何度も殺害してくる友人を止めるために最大行使。 結果、最初のせりかから力は消え友人に全ての力が渡った。 その際の友人が死にゆくせりかに対して放った「死なないで!」「生きて!」「もっと生きようよ!」が今にフィードバックされている。 しばらくして白骨となったせりかを見て能力が変異。 様子を見に来た友人に行使して理由も判明。 永久に形を失わせ、中身が伽藍堂になればそれはせりかの筈。 歪んだ友情が招いた、歪んだ魔法。 以降のせりかの能力として偽せりかに組み込む。 まだ、元凶は生きている。 以上は「過去視の魔法少女」から得た情報であり、当魔法少女は処分済み。