■ヴェニス・ウルキシス 年齢:29 生年:2036/06/15 性別:男性 所属:イズブシュカ社・『ラデガスト』 ■概要 皮肉な言動の目立つ三十路手前の男性傭兵。 イズブシュカ社製フレームに搭乗しており、屈強な一本足の脚部を持つ機体を乗りこなす。 かつての戦闘で下半身麻痺を患いながらも機体に搭乗していたが、対アイテール社雇用戦力”白い街”との交戦中に深刻な損傷を負い、下肢を切除した。 普段は人口義肢を利用しているが、機体の搭乗の際に接続先を変更。”足がないからこそ”一本脚に早々に慣れることができ、部隊『ラデガスト』の一員として戦闘を続けている。 極めて悲観的であり、最悪の可能性を幾つも想定する癖があるが、本機の特性上、その思考癖は回避や逃避として役立てられている。 かつて脚があった時代には笑う表情を見た事のある同僚も少なくないが、現在は暗く沈んだ表情のまま。 ___________________________ 「魔女が来た、魔女が来たぞ!」 「この街に魔女が来たんだ!!!!!」 イズブシュカは確かに身体障碍を持つ傭兵に有効的であり、彼らに対する福祉は充実している。社会的に抹殺されるべき”利用価値のない傭兵”に居場所を提供し、彼らに手段を提供することと引き換えに、データを手に入れている。 だが、彼らも与格企業であることを忘れてはいけない。 彼らは研究者であり、人であるのだ。 ___ 彼は入社時の試験において極めて優秀な入滅鉱適正を示した。常人が霞むほどの異常な身体強度、精神汚染プロセス抵抗値、精神復元能力。そのどれもが過去の傭兵を置き去りにするほどまでに最適であった。時代が違えば、彼もある種のレイヴンと呼ばれていたのかもしれない。 しかし彼は足を失い、ある作戦で手を失った。潰されたコックピットの鉄片が肩を貫き、穿った端部は脳に迄届いていた。仲間の手で身体は帰ったものの、彼の意識は遷延性意識障害のさなかにあった。そして意識混濁に陥った彼という最上の検体を、イズブシュカが逃すことはなかった。 冷凍保存を行う延命財団の視座は、人間の寿命という一点を超越し、真の知識を獲得することにある。彼らは肉体の修復能力だけを保護し、そのほか全てを極端に遅延することにより、身体の疑似的な永遠の可能性を示した。彼らは失ったものを取り戻さずとも、残った者を永遠にする方法を手に入れたのだ。 そして財団とイズブシュカは手を組んだ。 いまや検体となった伝説の素質を持つ穢れた傭兵と、永遠を歌う技術、入滅鉱適正。生命維持を行いながら、その性質を最大限引き出す、「偽りの与格兵器」。 それがヴェニス・ウルキシスであり、 「片足の魔女」アドナナーガである。 ■「アドナナーガ」:片足の魔女 製造:イズブシュカ社 分類:疑似与格亜人型機動兵器(同社分類) 入滅鉱抽出部位:脚部 入滅鉱構造特性:感覚侵蝕・同期 入滅鉱共鳴特性:自己同一化(バーバヤーガ) Ts-0Bのテストの為に設計された、部分的に入滅鉱を採用した一本足の異形の人型機動兵器。同社において優秀な戦績を発揮したある傭兵を選抜し、接続者とした。 構造特性が非常に強烈であり、使用者の精神を侵食する一方、肉体の修復を行っているため、瞬間的な衝撃を受けない限りには殆ど永久とも言える寿命を提供する。 また使用者の精神に致命的な汚染を与え、自身をある架空の存在だという妄信を与える。本件において、パイロットであるヴェニス・ウルキシスは自身をイズブシュカ社の与格であるバーバ・ヤーガであると信じるようになった。 当該傭兵の運用初期には、周辺地域のコロニーを焼き、その中に立ち尽くすという行動が数度確認された。これは精神汚染による没入症状であり、運用に対する致命的な欠陥とされている。 しかし疑似与格兵器の戦術優位性は極めて高く、このために同社は溢れた移民の居住地として、複数の領域を循環して提供し、一定期間の経過あるいはパイロットの不安定性が増幅された場合にその居住地を燃やすというプロセスを踏むことで、この兵器の運用性を高めている。 この運用が行われたのは10年程度になるが、学習環境の格さにより、機動兵器という存在をある種神格化していた一部の移民によって”魔女”と呼称され、当該兵器の発散プロセスを回避する手段を編み出している。 また自身の身体欠損の直接的要因となった”白い街”を極度に敵対視しており、作戦への動向が認められない際には、仮想敵として”白い街”の導入を検討することが、運用マニュアルに記載されている。