「あら、あなたがワンダーランドの来訪者かしら?」 崩れかけた屋敷に入ったあなたは女の声を耳にした。妖艶な奥底に潜む名状し難き狂気を孕むその声に、あなたは自然と臨戦態勢に移る。 物音一つしない、ひと気の無い屋敷内へ全神経を集中させるあなただが、声の主はその仕草を嘲笑う。 「あらあら、頭の中に響く声に怖くなっちゃたのかしら? そうよねぇ、気持ち悪いから早く取り除きたいでしょうねぇ」 妖艶に蠱惑的に、そして狂気と嗜虐性を孕む声色が鳴りやまぬ脳内にあなたは気がおかしくなりそうだった。 今すぐにでも声の主を倒さねば、己の精神が無限の狂気に蝕まれて正常性を失い、永劫の闇へと沈みこんでいく、そんな根源的な恐怖の湧き上がりがあなたの内側をじわじわと支配していく。 そんな時だ、微かな物音を過剰な程の機敏さで察知したあなた。 物音の方へ目をやると、屋敷の裏手側へ続く扉が僅かに開いている。 一刻も早く声の主を見つけ出したいあなたは衝動的に扉を開けると、そこにはかつては華々しい庭園があったであろう裏庭が視界に飛び込んでくる。 かつては、と言うだけに今や裏庭の光景は陰惨めいた雰囲気を漂わせている。 何かが溶けて出来上がった赤みを帯びる泥濘と踏まれて泥に塗れた花々、そして空気中に漂う確かな腐敗臭に嫌悪感がこみ上げてくる。 「丁度良いわ、少し手伝ってちょうだい」 再び脳に響く女の声。裏庭を見渡してみるも、人の姿は全くない。 いや、何かがぐずついた地面から這い上がってくる。 青白い腕だ。 酷く曲がった腕が泥濘へ爪を突き立てると、泥の中から異形の存在が不明瞭な声を漏らして現れる。さながらゾンビ映画の如き光景に目を丸くするあなたへ、女の声が告げる。 「人体実験の後始末、あなたに頼むわ。頑張ってね、アデュー!」 女の声が頭から去ると同時に、泥の中から現れた無数の異形の魔物が襲い掛かってくる。 ※以下は勝利時(或いは戦闘が面倒な場合のみ)にスクロールしてください。 ようやく異形の魔物達を倒したあなた。既に女の声は聞こえなくなっており、急いで森を抜けようとした矢先に前方から一人の若い男が姿を見せた。 ・「お前が陛下の国を乱す無法者だな?」 [https://ai-battler.com/battle/a0af1099-9a39-4a4a-9620-6e4a457d9bf4]