「高みから見下ろすだけじゃ偏った物しか見えなくなる」 水は万物を利して争わず、衆人の恵む所に処る。 つまり、最高の善は水のようなものでなければならない。 水は万物を助け、育てて自己を主張せず、だれもが嫌うような低い方へと流れて、そこにおさまる。 水は差別せず、あらゆる生命や土地を等しく潤す。 人もまた、他者を選ばず、静かに助けることが理想。 水は流れに身を任せ、対立しない。 他者とぶつかるのではなく、調和を保ち、自分の道を見つけて進むのが理想。 水は自然に、誰も好まない「低い場所」に流れていく。 自分を誇らず、謙虚であることが理想。 これこそが彼女を表すものであり、彼女の理念とも言える。 彼女は相手が悪きものでないならば、 人も敵も、魔物でさえ、なんであろうと慈悲を送る。 そこには心からの慈愛があり、それに対しての見返りを求めたりはしない。 圧倒的な力を持っているが、それを罪なきものに使ったりはしないし、その力を誇示するつもりもない。 人助けなんてただの偽善だのなんだの言われようと、彼女にはそんなこと全くもってどうでもいいし、そこに価値なんてない。 元々人と話すことはあんまりしないし、コミュニケーションも取らないため、彼女には友達という友達はいなかった。 天才ということもあり、剣術の腕もあり、学力もある。 嫉妬の目を向けられたり妬まれたりもしたが、彼女はそんなのどうでもよかったので相手にしなかった。 「高みから見下ろすだけじゃ偏った物しか見えなくなる」 この言葉は、彼女の発した言葉の一つである。 鳥は空から広い景色を見られるが、地面の中でうごめく虫の細かな動きまでは見えない。 逆に、虫は狭い世界しか見えないが、 その中の変化や些細な違いには敏感。 高み(鳥の視点)だけでは、地面の現実を見落とす。