ログイン

[紙風] メタルバースト

      《とある研究所で》 「にへっへへへ、ついに完成したよ。私の最高傑作が」 ボサボサのろくに手入れもされていない長髪を持った白衣の女性はそう言いながらボタンを押した。         ガポン その音と共にトゲトゲしい印象を持つ小柄な人型ロボットの目に光が灯った。 『システム起動 全システムオールグリーン 機体名:メタルバースト これより行動を開始する』 その機械音声とともにメタルバーストと呼ばれるロボットは白衣の女性に向かって歩き出した。 「おっほほほほ!やっぱしデータ上じゃなくて実物が動いてるほうがいいね!」 そう拍手しニヤケながらメタルバーストに抱きついた。 『マスター ご指示を』 「おっそうだったね。じゃあ戦闘訓練でもしてみようか」 白衣の女性、いや少し長いからマスターと呼ぼう。 マスターはメタルバーストを連れて訓練室へと向かった。 「うふ、うふうふふ。う〜ん楽しみで楽しみでしょうがないね♪」 「おや、いつも以上にごきげんじゃないか。どうしたんだい?」 鼻歌を歌いながら歩いていたマスターに白衣を着てメガネをかけた細身の男性が話しかけた。 「あぁ〜トーマァァス!聞いてくれよ!やっと私の子が完成したんだ!とってもCuteだろう!!」 「アハ、アハハハ…そ、それは良かったね」 いつもとは比べものにならないほどに元気な様子に少し苦笑いをしながら、トーマスと呼ばれた男は手を振りながら反対方向へと歩いていった。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ そんなこんなで訓練室へと着いたマスターとメタルバースト。 「じゃあ早速、戦闘訓練をしてみようか。標的はあの人形だよ」 『了解 攻撃対象を設定 これより任務を開始する』 マスターの指示に従い、メタルバーストは足裏のタイヤを勢いよく回転させて人形に突撃した。 その勢いのまま人形をすれ違いざまに殴り、直後に急反転。人形の頭に蹴りを入れ、回転しながらその頭を両手で掴み、杭打ち機で頭部を貫いた。 その様子を見ていたマスターはメタルバーストに追加の指示を出した。 「メタル、もう準備運動は終わりにして本気を出してくれ。詳細な戦闘データを記録したいからさ」 『了解 これより低エネルギーモードから高エネルギーモードに移行s【バイオハザード発生!バイオハザード発生!職員は急いで避難するように!繰り返す!職員は急いで避難するように!】 「ファッ!?」 メタルバーストの応答をかき消すように放たれた非常音声にマスターが驚きの声を上げ、手に持っていた携帯端末を落とした。 「えぇぇぇえ!!ちょ!ちょ!どうなってるんだい!?」 そう叫びながら急いで携帯端末を拾い、メタルバーストに慌てながら駆け寄った。 『マスター si「ちょ!メタル!今から研究室に戻って研究資料取って逃げるよ!!」 『了解 これより行動をk「そういうのいいから急いで!」 そう怒鳴りながらメタルバーストを連れて走った。 「クソ!クソクソクソクソ!!トーマスの奴ら!何してんのよ!!」 そう愚痴を言いながら、自身の研究室に戻る途中の廊下でトーマスを見つけた。 「あ?トーマス!?あんたなに呆けてんのよ!さっさと避難しなさいよ!」 そう叫んでも聞こえてないのかトーマスは振り返らず、その場に立ち尽くしていた。その様子を見たマスターはイラつきながらトーマスに近づき、その肩に手を置いて振り返らせた。 「ちっ、トーマス!さっさと逃げ…るよ…は?」 振り返らせて見たその顔は人の顔ではなかった。目が空洞で、口の中には何かが蠢いているのが少し見え、胸が裂け胸骨が顔を覗かせている。マスターがまだ犠牲になっていないのを確認すると、トーマスだったものは雄叫びを上げてマスターに襲いかかった。 「KIiiiuuuuoooOOOO!!」 「ひっひぃ!」 マスターは怯えた声を出して腰を抜かしてしまった。普通だったらこのまま殺されてしまうだろう。だが、そこには鋼の従者がいた。 『マスター 伏せてください』 メタルバーストがマスターに声をかけると同時に、その金属で出来た拳が怪物に突き刺さった。 「GUGE!」 怪物がうめき声を上げ、少し怯んだ隙にトドメである掌に内臓されたパイルバンカーによる一撃が心臓にぶち込まれた。        BAGON!! 「GA...GAGA...」 怪物は短い断末魔を上げると同時に痙攣しながら倒れ伏した。それを見ながらマスターは戸惑いの声を上げた。 「なんでアレが解放されてんのよ?だって…アレはレベル5の研究室で厳重に保管されてたはずでしょ?なんで…なんで…」 『マスター 立ってください 今は急いで研究資料を確保し、脱出するべきです』 混乱しているマスターにそう言いながら手を差し伸べたメタルバーストを見て、マスターは少し混乱しながら返事をし、その手を握って立ち上がろうとしたが、腰が抜けて立てないでいた。 その様子を見たメタルバーストは無言でマスターの背中と膝裏に手を回し、スムーズな動作で胸辺りまで持ち上げた。 「あ、ありがとうメタルバースト。気が利くね」 マスターはメタルバーストの手の中で礼を言った。それに対し、メタルバーストは一声 『マスターを守る それが最重要任務だからです』 そう歩きながら言った。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ その後、他の怪物と出会うことなくラボに着いたメタルバーストはマスターを近くの椅子に座らせ、マスターに質問した。 『マスター どこに資料があるか教えてください』 「じゃ、じゃあ先ずはそこの机の中にある紙媒体のやつと、パソコンが置いてある机のUSBメモリを私に持ってきてくれ」 質問の答えを聞いたメタルバーストは一言『了解』と返事をし、回収作業に移った。