外は雪が降り、夜空の星は宝石のように輝いていた 「手足が震えてきた。…寒い…」 そう思い早足で自室に戻った 部屋に戻ったら私の数少ない友人であるリベラリ・テート・クーゲルが居た 桃色の髪を持つ可憐な少女だが、二本の大剣を同時に使い戦うと聞いた 「やぁリベラリ。今日はどうやって入って来た?」 私は当然の質問をした。なぜなら扉には何重にも鍵を掛けたはずだ。 だから次こそ入らせないようにする為に聞いた 「僕は転移魔法を使ったんだ。使ったことなかったけど、案外成功したぞ!」 次からは対魔法結界を張ろうと思った 「それで、何のようだ?」 わざわざ魔法まで使って何をしにきたのか… 「聞きたいことがあるんだ。君には嫌なことかもしれないけど…」 私は椅子に座り話すことにした 「勇王の話だろ。お前も座ってくれ」 彼女は椅子に腰掛け、ワクワクした顔でこちらを見ていた。 「…あの時も雪が降っていた夜だった」 十数年前、アイゼン・ズィーク12世という王に拾われ、人生はガラリと変わった 拾われるまで薄暗く錆びた鉄と土の匂いで充満した洞窟で金を掘っていた 常に腹は減り、食べる物も一日一回支給されるパン1つ しかもパンも石並みの硬さで味は無駄に味がつけられていて塩辛い たまに地面で這い回っている虫やネズミを食べた方がまだましだ そんなある日、筋骨隆々で大柄の男がこの洞窟に来た。 「ここが地下採掘場か。…しかし酷いものだな。」 そんなことを大柄の男が呟いていると奥からあいつがでてきた 「そんなこと言わないで下さいよズィーク勇王!彼らは私達の為に存在する道具なんですから。」 あいつはローグという男だ 見てるだけでも腹が立つその男はここ地下採掘場の支配人であり貴族である 僕が彼らの会話をこっそりと聞いているとローグと目が合った そいつはこっちに近寄ってきて僕を蹴った 「ぐっ…いっ…っ」 激しい痛みが頭に走り、手を押さえると手が赤く染まった 「何をやっている!早くツルハシを使って金を掘れ!」 ローグは僕を蹴り続けながらそんなことを言った 次の鋭い蹴りが入るその瞬間 バチンッ 目を開けると1人の騎士様が立っていた 「鉄製魔法…」 後ろの大柄の男が魔法を唱えていた その後男はローグに歩み寄りローグを殴った 「我がズィークの民に何をやっている!」 その獅子のような大きな声は採掘場中に響いた 僕は男に言った 「貴方は一体何者なんですか…」 傷だらけの口で一生懸命言った 「ふむ。世の名は鋼鉄の勇王、アイゼン・ズィーク12世だ!」 勇王…この国、「ズィーク」の国王でありながら魔法を使い戦場で戦うと噂で聞いたことがある きっと先程の騎士様も勇王の魔法によるものだろう 「さぁ民衆よ!この採掘場から出て自由になれ!」 勇王のその一言で他のみんなは出口に向かって走り出した 数の暴力とは恐ろしいと思った 何人かいた警備員は全員虫のように踏みつぶされていた 勇王は僕を背負い出口まで歩いていった 「大丈夫か?とりあえず城まで行くぞ」 僕は馬車に乗せられ、城まで送られた