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【剣の家系の落ちこぼれ】シーナ・フォスカリ

____16年前____ 「オマエは弱いなぁ、シーナ…」 私は…弱くなんかない……! 「貴方みたいな剣術もできない低脳、なんで産んじゃったのかしら……」 戦い方は剣術以外にもある……! ___14年前___ 「御当主様、私…魔蓄の加護と速射の加護っていう魔法に特化した加護を授かっていたみたいで 「ハッ、魔法?化学?そんなモノは邪道だ。剣も扱えぬ劣等は猿と同じよ。」 私には…剣に固執してるあんたの方が猿に思えるけどね… ___10年前___ 「シーナ。オマエは邪道を歩み、我らの血を穢すのだな?」 「うん。あんたみたいな古い騎士道に囚われた猿には越えられない壁を、あたしが超えてきてやる。」 「ハハハ!!言うじゃないかシーナ。ならばその壁を越えて見せろ。無論、旅立ちは今だ。これは俺が決めた。そしてお前は二度と我が血族の元へ帰って来るなよ。そのための話なのだろう?」 「ご名答だね。あたしも元々は今日出発して、二度と戻って来ることはないって思ってたし別にいいよ。あたしが魔術で冒険者最強になって、あんたらの顔に泥塗ってやる!」 _______ 「姉さん……」 「げっ、アイザック」 「本当に大丈夫なんですか?1人で…」 「あんたは気にしなくていい。これからあたしはフォスカリ家の人間じゃなくなるから。これからの私はただの「シーナ」として冒険に出る。これは誰にも止めさせないよ。」 「………そうですか」 _____________ 「…んぉ、夢………」 シーナ・フォスカリは目を覚ますと、夢の中で見た良い家系特有の豪邸とは違う、冒険者ギルドから提供される質素な宿の天井が目に入った。 「こんな感じで自分から家出できてたら…未練も少なかったかなぁ……」 今まで見ていた夢と現実の違いに苛立ちと後悔を募らせる。あの夢で見たような「本人の意思」による別れなどどこにも存在しておらず、 本当は自分の意思を持たず人形のように言われるがまま過ごしてきたシーナをある日突然御当主様の命令で寝ている間にフォスカリ家の人間で運び、街の適当な所で捨てたことで家族と別れていた。 その後冒険者ギルドに拾われ、ギルドで働くことを担保に衣食住を提供してくれた。 「あーあ…明日は大型クエストやるのに…イヤな事思い出しちゃったな〜…」 シーナは頭をポリポリと掻き、外を見る。 上の階から獣人特有の鳴き声と男の人の悶える声が聞こえてくるが、深く思考しているシーナの耳には入ってこなかった。 「なんか今日は落ち着かないし寝れないし…そうだ、水魔法か土魔法の訓練でもしようかな…質量攻撃できるようになっておけばパワーも増すし。」 なんとかして嫌な思い出から目を逸らす。周囲の人間には自分がフォスカリ家の出身であることも明かしておらず、相談できる相手はいない。それがシーナの心をさらに締め付ける。 「魔法使いはコンディションが大事なのにな〜……」 そう呟きながら、体を捻って軽いストレッチを始める。上の階でいかがわしい事が起きている事にも気がついたが、今のシーナにはそれを気にしていられる余裕がなかった。 「…ん、ようやく眠くなってきた………」 そうしてシーナはゆっくりと眠りにつく。翌日受ける大型クエストで人生最大の転機が来るとも知らずに。 ________________ シーナ・フォスカリ 25歳 163cm 50.3kg 好きな食べ物:肉 嫌いな食べ物:回復薬・聖水 好きな人:なし 嫌いな人:フォスカリ家の面々 尊敬する人:ソフランちゃん