ログイン

残り火のテナン

「神による祝福は、私の故郷を滅ぼした。 次に滅ぶのは、貴様らだ。」 かつて私は、一つの町に住む少女であり神官であった。日々の修行の末、広場で神託を得た時は私の敬虔さが報われたと思った。体に刻まれた文字がその証拠だ。これで近いうちに起こるであろう戦争から町を守れる。数日後、侵入者を知らせる鐘が鳴った時、私はある種の高揚すら持ちながら、門に向かった。 気付いた時には、町は炎に包まれていた。   訳が分からなかった。私は守れなかったのか?町に火を着けるなんて酷すぎる。 瓦礫の隅に羊飼いのヨールを見つけたが、返事はなく、口はひたすら同じ言葉を繰り返していた。「化け物」と。恐怖にやられたのか。可哀想に、無理もない。 痛む左目を押さえながら唯一残っていた建物に人が集まるのを見つける。そこで、真実を知った。 敵を見た瞬間私は我を失い、黒き炎が迸った。私の力は炎となり敵と共に町を焼き尽くした。力の奔流の中で、祝福は暴走するように全てを蹂躙したのだった。 「化け物」とは私だった。 焼け落ちた故郷を後にして、ただ歩いた。私が悪かったのか?答えの出ない自問自答は灰となって燻り、心に重くのしかかる。辛く、苦しく、出口もない。神の力により若々しく強いままの肉体も、死を許さぬ牢獄のように感じた。 しかし、世界を周り、様々な奇跡を知る内に気付いたのだ。私に授けられたものは祝福などではなかったと。そして、それが例え何であれ認めることは出来ないと。 拳が震える。 胸の奥の感情が復讐心となって燃え上がるのを感じた。 それからは早かった。神に近づく術を聞き周り、儀式書を漁り、祭司の噂を調べて回った。神を屠れる武器エクゥスの噂を聞いた時はそれを得る為にあらゆることをした。神の力を利用し、少女の身体を利用した。かつての敬虔さなど見る影もないと自嘲しても、そのかつてを知る者など一人もいない。それでよかった。 奴らが残した火種は、いまや業火となった。 あとは、神を殺すだけだ。 「ッ!!!……ハァ……ハァ…………夢か………… 神の手を借りるなど、悪夢でしかない 仮に、家族が帰ってこようとも… 奴らは必ず滅ぼしてやる」 「第112回目」願望戦争 https://ai-battler.com/group-battle/5e6b5b97-6397-450f-974d-a96838c8ea54 #AIバトラー