帰り道 https://ai-battler.com/battle/ec7c49a5-f2c0-4fa6-98a1-2fccfcb37655 ───────────────── ※【返咲】追加効果:発動条件不明。死亡・消滅時何故か復活。 10代中盤〜後半 身長172㎝ 獣人時:身長179㎝ 世界各国を旅する社交的で誠実な少年。 旅先での綺麗な景色、美味しい食べ物、そして出会う人々との触れ合いが何よりの楽しみ。 お年寄りの荷物持ちから悪竜討伐まで幅広くこなす。 路銀が心許ない際、稀に行う炎を使った曲芸が人気。 人懐っこい性格の割に誰とも行動を共にせず、その旅路は孤独なものだった。 ───────────────── 「人生は長いが、目先の間違った楽な方向へ身を売った途端に人は死ぬ。正しくない楽な道の奴隷にならず、誇りと信念を貫け」 それが厳格な父の教えだった。 都では『剣を握れば一騎当千』と言われていたらしい。だが実際に父が、その様に言われていた話を聞いたことはない。ただ、毎日の様に剣を交えたが手も足も出なかった。 父は生まれも育ちも貴族だが、国境付近に居を構え、祖国を守るという使命の素晴らしさを説いていた。 母は平民の出だった。嘗て自警団に所属しており、そこで父と出会ったらしい。 父の事が大好きな働き者で、質素な暮らしを好む、素朴な人だった。 両親は国境付近の村では名士のような扱いだったが、都ではそうはいかなかった。 実直過ぎるが故に、都での生存競争に敗れて辺境に追いやられた没落貴族。そのような扱いだった。 歳の離れた兄もいた。記憶の中では顔も朧げだが、優しい人だったと思う。騎士団に所属しており、遠征で殆ど家に居なかった。たまに外国の珍しい菓子やら食べ物やらを持って帰って来ては、たらふく食わせてくれた。 たまに凄まじい味付けの菓子を食わされたが、記憶の中の兄はいつも楽しげで家族の中心だった。 国境付近で敵を迎え撃つ……そう言葉で飾り立てると聞こえはいいが、所詮は時間稼ぎに設置された捨て駒のような扱いだ。 ……私の手に収まる程、小さくなって戻って来たのが最後に見た兄だった。 これらが私の家族だった。 家族の事を大切に思うのと同時に、没落した一族の末裔だと笑われる事が悔しかった。うまく言い返せない自分が何よりも嫌だった。 私は私のことが今でも嫌になる。それを見透かされたのか、貴族からは「平民の血が流れた卑しい子供」と、平民からは「所詮は平民を人間だと思っていないお貴族様」と蔑まれた。 物心ついた時から祖国は戦禍の中だった。だが都は美しく、【芸術の国】と呼ばれていた。両親の奮闘など露知らずと言った表情で、美しく着飾った貴族や民が生を謳歌していた。 どんなに笑われても、父と母は、美しい祖国を誇りに思っていた。 そんな祖国は、他国の侵攻により瓦礫の山に変わった。両親も助からなかった。祖国の為そして私を逃す為に、その命を散らした。 結局両親が命を賭けて守ろうとした祖国は一晩で滅び、命を賭けて逃がそうとした私は敵国の兵に囲まれた。決死の思いで立ち向かったが、数名倒した程度で抵抗虚しく捕まった。 ───────────────── 【被験体データ】 No. 【S-35】 コードネーム: ██████ 我が国と敵対関係にあり、滅びたN国より入手した被験体。 幼いが捕獲した際、我が国の精鋭部隊を数名戦闘不能にしたという。 元々N国の辺境を守る侯爵家の子息だった為、こちらに対して貴族特有の傲慢な態度、そして ██国特有の時代錯誤な信念を振り翳し、反抗的な態度が目立つ。 しかし、数多のギフテッドの中でも最高峰の完成度と言える。故に以下を理解し、取り扱いには気をつけろ。 【※以下、暴力表現有。閲覧注意】 ※取扱注意事項 ・【S-35】の言葉に絶対耳を貸すな ・【S-35】を他の被験体に決して近づけることは許されない。必ず ██室から出さずに管理を行うこと。 ・ ██室は常に【S-35】の祖国や信念を貶す音源や、【S-35】の出自や人格そのものを否定する音源を最大音量で24時間365日絶やさずに再生し続ける事。 ・管理する者は常に【S-35】が四肢を拘束され、視界を塞がれた状態で特注の口輪を嵌められている事を確認するように。 ・食事の際に外してもいいのは口輪と目隠しのみ。四肢の拘束は絶対に外すな。食事自体は床に撒き、直接地べたを這いつくばるような形で食べさせろ。 ・【S-35】は極めて反抗的であるため、実験の際は常に ████で意識を混濁させた状態にする事。それでも反抗的な態度を取る場合、 ████を他の被験体へ投与する通常量の ██倍以上投与せよ。また、他の被験体に与える罰の ██倍以上の電流を ██分以上流せ。 ・【S-35】は薬物や毒に対し、強い抗体がある。そのため ████は定期的に種類を変える様に。 ・何度も記載するが【S-35】の言葉に絶対に耳を貸すな。手に負えない場合のみ【███████】の投与を許可する。 投与した場合は速やかに報告せよ。また抗体獲得防止の為、次回投与する際は数週間以上期間を空ける事。 ・心を折る為、あらゆる手を駆使して尊厳を徹底的に踏み躙れ。 ───────────────── 【或る研究員の手記】 ・前線は生体兵器に任せておけば良いものの、██を続けていく為にも物資の供給が何よりも大切だ。供給が間に合っていないという連絡が多い。我が国が安定して戦い抜くためにも、物資の補充を目的に███が是非とも欲しい。あれこそ我が国に必要な██だ。 ・他の██とは違いリスクや要求も少なく、何でも瞬き1つで全て目的地まで運んでくれ、どんな無理難題でも応えてくれるなんて最高だ。 ・あの力さえ手に入れば、欲しい物は全て手に入り、邪魔なものを永遠に遠ざけ続けることができる。絶対に喚び出し、研究所での俺の地位を確固たるものにしてみせる。 【以下、暴力表現及び暴言注意】 ・███を喚ぶにも難易度が高いようだ。███人の子供を██に捧げるも反応がない。無駄にした。降ろすために██階級の者が必要か。今いる子供の中で1番身分の高い████に色々試すが反応がない。苛つく。 最後の方まで████の██を逃れただけある。一筋縄ではいかない。 ・初めは良かった。どんな目に遭わせてもいい貴族のボンボンなんて最高の響きだった。 いつだって俺たち平民を見下しやがって。ありとあらゆる██を踏み躙ってやろうと楽しみで仕方なかった。ただコイツは一々癪に触る。ストレスで仕方ない。信念だの何だの高尚ぶりやがって。そんなんだから一族諸共█されたんだろ。時代錯誤なんだよ。無駄に口が回るのも腹が立つ。こっちが間違えているような気持ちにすらなる。被験体のくせに人間様に口答えしやがって。精神面で優位に立とうとする神経が気に入らない。 ・薬剤の調整を誤り、ルシアスが一時的に██状態に陥ったが数時間後には自然回復した。どうなってやがる。一生ぶっ█れとけよ。折角だから██状態になっている所を録画して見せてやったのに平然としてやがる。なんなんだコイツ。おかしいだろ。没落した癖に一々お貴族様ぶりやがって。獣風情が人間様の言葉を真似るな。なんだあの憐れむような目は。腹が立つ。何様のつもりだ。泣き喚けよ。絶対ありとあらゆる苦痛を与えて█を懇願させてやる。 ・あのガキ、四肢の拘束を破壊しやがった。幾らしたと思ってんだよ。ふざけんなふざけんなふざけんな。なんでよりにもよってこんな頭のおかしいガキの担当なんだ。なんでだよ。他の奴らはちょっと█しただけで従順になるガキをあてがってもらってんのに不公平だろ。始末書まで書かせやがって。魔女がこっちを見て笑いやがった。覚えてろよあの█████。 ・█████(研究担当員の名)が█████を降ろすこと成功したが█んだらしい。いやいやいやいや大失敗だろ。あんなに良い素材で。そんなやつしか喚び出せないのか██。目に入った存在全てを█すらしい。とんでもないやつだ。なんでそんな化け物とうちのクソガキは対等にやり合ったんだよ。おかしいだろ。よく聖剣持ち相手に素手で挑んだな。身も心もおかしいだろ。 ・████(担当研究員の名)が双子兄妹を器に█████と█████を降ろす事に成功したらしい。また、██(担当研究員の名)も少女を器に█████を降ろしたらしい。この戦乱の世では双方とも喚びやすかったようだ。他国同士で争わせることで、敵国を破滅に導けるだろう。かなり臨時ボーナスが出たようだが、あまり羨ましくない。3人とも見たが酷い癇癪持ちだ。何人の戦闘員が█んだか。幾ら金を積まれてもあれを担当させられるのは嫌だ。リターンは大きいがそれ以上にリスクも大きい。███を喚び出したい。これ以上の癇癪持ちはごめんだ。疲れた。俺はもっと評価されるべきだろ。 ・█の方に悪魔が支配している街がある。その街だけは、この戦禍を逃れているらしい。どうせ中は家畜小屋なんだろうけどな。どんな悪魔かは気になるが。まぁ、どこかの国の討伐隊が全員倒すのを諦めて撤退したらしいし、それなりの者なんだろう。 ・悔しいが降ろせる██にも限度があるらしい。あまりにも階級が高い、例えば【S-01】に値する█達は降ろせていないのが現状だ。今いる中で階級が1番高いのは【S-56】だ。███は更にその上の階級故に難易度が高いのは分かっている。だがそれでもこの戦乱の世を勝ち抜くには必要不可欠だ。 ・ガキの無駄吠えが耳障りだ。口輪を外せば正論ばかり振り翳しやがって。憐れみやがって。苛々する。今更自分に██があると思うなよ厚かましい。あまりにも煩いので【███████】を投与してやった。 先週投与したばかりだが大丈夫だろう。騒ぐお前が全部悪い。コイツのことは嫌いだが、【███████】を何度投与しても█れない丈夫なところは嫌いじゃない。他の被験体は原則1度でも投与すると使い物にならなくなる。 ……少し量が多すぎたのか、回らない呂律で妙な事を口走った。また正気に戻った時に見せてやろう。 ・先日の映像を見せてやった。まだこちらを睨む余裕があるのが腹が立つ。 録画した映像を見ていて気になった点があった。それは俺が立ち去った後の映像。それまでは俯いていたのに耳が反応し、急に上を向いた。目の焦点は合っていないが、明らかに『何か』と会話をしていた。音響装置が邪魔で会話は聞き取れない。口の動きを何とか読み取る。かなり不明瞭だが、いくつか単語を読み取った。その中で確実に言った。「███」と。 ・先日の映像を本人に見せるも「覚えていない」との一点張り。コイツは本当に信じられない奇行を繰り返すが嘘は吐かない。そこだけは信用できる。使えない。なぜ███が召喚できないのか、他に仮説を立ててみる。 ・喚び出せないのは階級の高さだけに原因があると思っていた。しかし、そもそもそれが間違いではないか?我々は███と同じ階級、もしくはそれより上の階級の者を█████以外、他を喚び出そうとしていなかった。 先日の悪魔の街について様々な文献を漁り、再度調べ直した……領主となった悪魔の特徴と█████の特徴に類似点が多い。この悪魔が同一の者だとしたら。█████も███も█の█の部下だ。我々が███を召喚できなかったのではなく、既に███はこの地に存在しているのではないか?そして何らかの形でルシアスに接触したのではないか? ・ふざけんな、あの白髪のガキ。この俺に椅子を投げやがった。ちょっと脅しただけだろ。お陰で入院だ。死ぬかと思った。黒髪のガキもそれを見て笑いやがった。覚えてろ畜生。他の研究員曰く、数日間昏睡していたらしい。 ・同僚に聞いた。ルシアスが他の被験体を巻き込んで脱走しやがったらしい。報告書を見たが書いた奴は馬鹿なのか!?いやしかし、あのガキならやりかねない。本当に無茶苦茶なんだあのガキは。怒りよりも正直、やっとあの化け物から解放された安堵の方が大きい。【███████】を投与しても息を吹き返したか……自らが作成したマニュアルに背き、投与の時期を空けなかった事は墓まで持っていこう。バレたらマズイ。 ───────────────── 以下、【S-35】に纏わる事故報告書 【S-38】【S-39】交戦後、 █種類の薬剤注射と【███████】による処分決行。担当者は【S-35】の呼吸と心停止、瞳孔を確認。念の為両脚の腱にも『処置』を行い、四肢を【S-35】専用の特殊合金製の拘束具で拘束。 その後、地下の解剖室へ運び施錠確認。 夜間巡回時【S-35】の呼吸と心停止の維持を確認。再度解剖室の施錠確認。 翌日、09:48に爆発音。戦闘員50名が現場に急行。解剖室の壁が破壊されている。 【S-35】を安置していた寝台が無人状態。 特殊合金製の拘束具がひしゃげて千切れ飛んでいる(通常では有り得ない方向にひしゃげて使用不可になった拘束具の画像添付) 9:50外で再度爆発音と叫び声。別部隊の戦闘員出動。 運動場の壁が一部崩壊。現場混乱状態。被験体のうち逃げ出そうとした【削除された項目】【削除された項目】をその場で捕獲。 周辺捜索した結果【S-35】の首に装着していた起爆装置を発見(破損した起爆装置の画像添付) 被験体の総数確認。【S-04】【S-25】【S-56】消息不明。捜索員300名新たに追加し、引き続き捜索決定。 以上の点から、「馬鹿が書いたとしか思えないような、頭の痛くなる内容の報告書」になるが【S-35】は致死量を遥かに超える数値の混合毒と薬剤、そして【███████】を短時間で多量に摂取した上、数時間もの間、呼吸停止と心停止が確認されていたにも関わらず、何らかの要因で息を吹き返し、何らかの要因で折れた腕と脚の腱が再生。特殊合金製の拘束具を素手で引きちぎり、挙げ句の果てには銃弾や爆薬ですら傷一つつかない厚さ█mの解剖室の壁を己の腕力のみで破壊。そのまま2分足らずで運動場までNkm程の距離を駆け抜けて、電源が切られており、本来爆発しないはずの首の起爆装置を外して起爆、もしくはNmの壁を登り、外から起爆装置を発動させて【S-04】【S-25】そしてやや親交があった【S-56】の脱走を手引きしたものと思われる。 この様な事態になった原因としては、【S-35】の再生力を甘く見ていた事が大きいだろう。 また【S-35】の管理を担当していた研究員が【S-35】【S-38】【S-39】との交戦前に【S-38】に肋骨を折られ、折れた肋骨が肺に刺さるなどして数ヶ月入院しており、【S-35】の身体的特性について連携不足だった点が挙げられる。