「あの人の事は忘れなさい」 彼女の記憶には父親が存在していない 彼女が生まれた時には 立ち会って居たのだが 日本に移住したきり会っていないと 母から聞いてはいたが それ以降の話は聞けていなかった 彼女が子供の頃母は仕事で 彼女と接する時間を確保できておらず 帰ってきたとしても話す時間は無く 彼女に構う事は無かった 過去に彼女がしつこく 構った事が一度あったが "邪魔"の1言で片付けられた そのせいで彼女は成人するまで 人間不信に陥ってしまい 人と接する事が恐怖になった そして彼女は大学を卒業した後は すぐに家を出て日本に移住 それから1年間は父親を 探す為に日本中を旅したが 父親は見つからなかった そんなある日 彼女が繁華街を歩いていた時 後ろから悲鳴が聞こえてきた 見るとそこには腕を捕まれ路地裏に 連れ込まられそうになっていた女性と 女性を路地裏に連れ込もうとした 中年男性が居た 女性は大声で助けを求めたが 男女関係なく通行人は全員無視 そこで彼女は目の当たりにした "人間の醜さ"を 彼女は吐き気を覚え その場から離れていってしまった この判断が間違いだった 後日彼女がホテルのテレビで ニュースを見ていると こんなニュースが流れてきた 「昨夜 女性を殺害した疑いで 中村建華良氏が逮捕されました」 彼女はその名前に聞き覚えがあった そう。彼女の父親の名前だ そう言えば度々母親が寝言で 「中村さぁん…」と言っていた気がする 疑いたくないものの母親に聞いてみる 「中村建華良って知ってる?」 すると直ぐに返信が来た「あぁ。 その人あんたの父親よ」 その瞬間彼女は血の気が引いた 結果的に被害者の女性は路地裏に 連れ込まれ人目のない場所で 殺害されたらしい その真実を知った彼女は確信した "人間は醜い物だ"と その瞬間彼女の目の前に謎の男が現れる 「貴方…人間を滅ぼしたい… そう思いですね?」 いきなり図星を突かれた彼女は 少しビクッとしながらも頷いた 「そうですか… ならばこれを…」 そう言って男は ショーケースを取り出す 男がショーケースを開けると 中には拳銃が入っていた 「今日から貴方はこの武器を使って 人類を殲滅してください」 彼女は何度も首を頷いた その日から彼女は人類を 殲滅する事を心に誓った