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【絶望の先の三位一体】レゼフシ

現在の体は父レゼフシである。 レゼフシは孤独な男であったが、ある日、ダークサイドにより両親を失った子供を二人、養子として迎えることとなった。 それが、姉のマキと弟のプレゾンであった。 レゼフシは誠実で聖人とまで言えるような男だった。富める者として生まれなかった者は基本、凶暴になってしまうが、この男はいつでも優しく、与える事が好きな男であった。 マキは魔法を学ぶことに全力を尽くしていた、勤勉で頭脳明晰な少女であった。 プレゾンはやんちゃで、イタズラが大好きな少年であった。 三人は共に過ごす内、互いに本当の家族の様に打ち解けていった。三人は幸せだった。 しかし、富める者の闇の手が襲った。 富める者はまるでゴミを処分するかのように、貧しき者の家や、貧しき者そのものを焼き尽くし始めた。その際の表情は悪意と喜びに満ちており、邪悪な笑みを浮かべていた。 三人は逃げた。しかしその道中、父レゼフシは二人の子供を守る為に自ら火炎放射を受け、大きな火傷を負って動けなくなってしまった。 レゼフシはその場にへたり込んだ。二人はしゃがみ込み、父を心配する。 しかし、富める者は二人の小さな子に拷問弾という、通常の弾と違い拷問を目的とした悪意に満ちた弾を打ち込み、また笑った。 二人は叫び、のたうち回った。レゼフシは、二人の苦しむ子を見て涙を流すことしかできなかった。涙は焼けた肌に染みてこれまた痛んだ。 三人はそのまま絶命しかけた。しかし、三人は恨んだ。人を当たり前に殺す富める者を。三人は悔やんだ。大切な家族を守れなかった自らを。三人は怒った。この世界の不条理に。 三人の思いは混ざり合った。そして、一つとなった。話すことのできない父の身体、魔法をスラスラと覚えることのできる姉の知能、やんちゃで、自由で、凶暴性を持つ弟の本能。 それらを持つ、"堕落者(ダークサイド)"に…… 人間の頃の名残か、火を見ると異常に怖がり過呼吸になる。