場虎亜県の人区の外れ、 朽ちかけた古い建物が立ち並ぶ 一角に、彼女は住んでいる。 教会と呼ぶのが烏滸がましいと 思えるほどのクソボロっぷりの教会、 いや礼拝堂。それが彼女の住処だ。 元から小さめなところではあるが、 彼女の背が高いこともあって、 少し窮屈そうである。 屋根は苔むした木造であり、 壁にはひび割れが目立つ。 内部は一応清潔さを保っており、 色褪せたステンドグラスの影が 床に写って、穏やかな色彩を 見せている。 内装は簡素で、 祭壇の前に古いベンチが並び、 隅には彼女の私物が散乱している。 残念ながら、下着などではない。 大抵の場合は空となった 酒瓶が転がっており、 極稀に彼女自身が転がっている。 ぶっきらぼうだし愛想悪いしで 初対面では怖がられがちだが、 この辺りでは唯一の癒術者であるために 彼女の世話になる者は多く、 面倒見が悪くないこともあって 町の人たちからは意外と好かれている。 彼女は早朝が好きだ。 早起きは銅貨3枚の得という 言葉を信じているし、朝の澄んだ空気を 通して吸う葉巻からは、 なんとなくいい味がするためである。 教会の方を見れば今日も、 彼女のふかす葉巻の煙が見える。 【場虎亜県の日常!】 『場虎亜県人区在住』