こちらのエレベーターは11Fまでの直通専用となっております。途中の階では止まりませんので途中での出場を希望される方はテレポート中に扉を通過して出ていただく必要がございます。尚、その際にどのような現象、不利益が生じたとしても塔の関係者達は一切の責任を負いかねますので予めご了承ください。 このエレベーターは非常に優秀なテレポート機能を有しており、本来であれば有機物、無機物問わずテレポート中に分解してしまうような非常に高度な能力をエレベーターの外壁に掛けられた特殊な応用烙印を駆使して搭乗員、並びにお客様の身体を保護しております。 もちろん、外部からの衝撃には非常に脆い作りとなっておりますので安全面を考慮し、直接的なテレポートではなく安全を確保できそうな点を経由してテレポートを行なっております。 テレポートの際、この塔の階層の守護者達によって外部から衝撃が加えられた際は直ちに安全装置が作動し搭乗員、そしてエレベーターを守るために緊急脱出を行いお客様の身の安全を保障できないことをあらかじめお断りさせていただきます。 それではここでこの塔に纏わるお話をひとつ。この塔は元々海中に存在しておりいつ建てられたのか誰が建てたのか一切の詳細が不明な塔なのです、斯くいう私も気づいた時にはこのエレベーターの搭乗員としてここに存在しており、それまでの記憶の一切が存在しません。聞いた話ではこの塔はかつて天を目指して建てられた塔が創造主の怒りに触れ、創造主のイカヅチ『ビル』によって世界の奥底へと沈められたのだとか……。 おや、まもなく到着です。運が良いですね。時間がかかる時は到着に10年ほどかかるのですが、今回は随分と早い到着です。 もしかしたらこの塔の守護者達があなたに会いたくてうずうずしているのかもしれませんね。 それでは、お気をつけて。いってらっしゃいませ。