黒白のアヴェスター その宇宙は開闢以来、止むことのない争いに満ちていた。 あらゆる生命が両極端な二つの属性に分かれており、互いが互いを敵視している。 白と黒。光と闇。そしてあるいは善と悪。 定義づけなど何でもよく、確かなことはただ一つ。 彼と我は何があろうと相容れない。 ゆえにどちらかが滅びるまで戦いは終わらないという了解だけ。 彼らはこれを真我(アヴェスター)と呼んでいる。 本能であり、生理であり、常識であるがゆえに疑う余地のない真実として、 誰もが敵を殺さなくてはならないと知っていた。 これは、そんな冥府魔道の物語。 真我の果てに無慙へ至る──殺戮の荒野を行く男の軌跡。