彼女はかつて明るい少女だった。 光の魔法と聖なる治癒の魔法。それが彼女の代名詞だった。 しかし。 彼女は呪われた。 魔王に最後の一撃を与えたから。 ただ、それだけで。 明るい髪と瞳が暗く染まる。 彼女は苦しみ、膝をつき、息を吐いた。 …地面が、凍った。 氷呪。 それは吐く息を絶対零度に変える。 それはとめどなく溢れる恐ろしき冷気。 …それは優しい仲間をも脅かした。 明るい彼女は絶望し、泣いた。 仲間は変わらず優しく接してくれた。 仲間は解決策を探そうと、さらなる旅を続けた。 でも。 手足が凍てつき重戦士が倒れた。 肺を犯した冷気は魔女を一時呼吸困難にした。 彼女は仲間を殺めたくなかった。 …彼女は決心し、勇者に告げた。 「もう私、耐えられない…」 「…だから、1人で頑張る。」 「絶対に戻るから…!」 「こんな呪いなんて、克服してみせる…!」 「だから、こんな私を…待っていてくれますか…?」 彼女は口を隠し叫ぶ。 勇者は俯き、「そうか…」と呟く。 「力になれず…本当にすまない。」 「だが君ならやれる。」 「また、一緒に笑おう!」 「…うん!」 彼女は涙を零しながら走り去った。 氷の道を創りながら。 呪いを解くべく、彼女の戦いが始まった。 時に己の未熟さを不甲斐なく思い、怒り嘆きながら。 それでも彼女は諦めない。 彼女は1人、研究する。 しかし、決して独りでは無い。 待っていてくれる仲間がいるから…!