ミシャーは世界を周る旅商人だ。 幼い頃に弟子入りし、16には一人で商売を始めた。 当初は舐められることも多かった。18には慣れ、徐々に行動範囲を拡大。今では東西南北を巡る大ベテランになった。 最近では旅商人ギルドから弟子を取るようにとせっつかれている。が、面倒なので無視を決め込んでいる。自分の師は中々なお人好しだったんだろう、とミシャーは思う。 幼い頃、奉公を丁度受け入れていたから流れで旅商人になった、なんて程度の始まりだったが、ミシャーは旅商人の仕事に誇りを持っているし、旅も肌にあっている。きっと最期までこの仕事を続けるだろう。 旅商人は剣も魔法も使わないが、世界の、街の、人々の距離を縮める偉大な仕事だ。大剣士、大魔法使いが世界の形を変えられるかね、なんてよく嘯いている。