ログイン

【鏖の魔王】双角鏖魔

とあるのどかな田舎にて、 生気のないチーターの獣人は言った。 「『魔王』を見た。」と。 大きな傷を持つ年老いた獅子の獣人はこう言った。 「本当の『鏖殺』を見た。」と。 恐怖に支配されている年老いた豹の獣人はこう言った。 「『魔王』の怒りに触れた。」と。   この地域はかつては争いの絶えぬ地だった。 かつてこの地には様々なギャングのグループが存在していた。 グループ同士で壮絶な抗争が繰り広げられていた。 血で血を洗うような凄惨な争いも、日常と言えた。 この混沌としたこの地獄のような地域で、とある魔法の言葉があった。 『魔王が来た』 この言葉を聞けば、殺し合いの最中でも、酒場で喚いている最中でも、まるで蜘蛛の子を散らすように、敵味方関係なく死に物狂いで逃げ出す。 もしも逃げ遅れたら、もしも言葉を信じずそのままにしていたら拝むことになる。 『鏖の魔王』の姿を。