「この俺こそが!昆虫王者だ!」 彼はかつて、とても弱かった。虫ケラという言葉は彼の為の言葉と言える程に。大自然はそんな彼に容赦しなかった。その弱さ故に彼は家族も友も故郷も全て失ってしまった。彼は長い間孤独を味わった。それ以来、彼は変わってしまった。強さを求め、鍛練を積む日々が始まった。己には進化する才能があるとわかった。いつしか虫の王と呼ばれる程に強くなった。だが彼はそれでも満たされなかった。彼は気づいていないのだ。求めていたのは圧倒的な力ではなく、心の底から信頼できる友だということに。