永愛ストリートに近い渓谷にて… 観測隊員1「今回の観測も、これで大体一区切りつきましたね」 ルーヴ「うん、大体顕現しそうな蛮神の種は潰せたかな〜」 観測隊員2「観測レポートはこちらで仕上げますので、お二人は先に帰投してください」 ルリアン「お願いするでござる!」 観測隊隊長「観測139から本部へ。観測調査完了、ピックアップを要請する」 ルーヴ「ふう…疲れたね、ルリアン」 ルリアン「お疲れ様でござる…む?」 ルリアンが立ち止まる。何かを感じ取るように。 調査隊員3「?ルリアンさん、どうかしましt」 その言葉を遮るように、空を切る音が響き、何かがルリアンに向けて放たれた。 ルリアン「やっぱり何か来ていたでござるな!」 彼女はそう言いながら、自身の刀でその攻撃をいなした。 そして彼女の目は確実に相手を捉える。 体格や身長からして種族は人間だろうか。しかし、誰も「ソレ」の姿を捉えることはできなかった。 薄暗い渓谷の中だからだろうか。それはまるで「影そのものを纏ったかのような」姿で不気味な羽音と共にゆっくりと近づいてくる。 ルリアン「前方から敵襲!おそらく人間でござる!」 ルーヴ「調査隊員は全員退避!」 観測隊隊長「了解、無事を祈ります」 ルーヴはそう言い終わると、自身の装備「[W.A.O.]」の起動を急ぐ。 ルーヴ「WAOの起動がまだ終わっていないから、時間を稼いで!」 ルリアン「わかったでござる!起動できたらすぐに平地へ移動するでござるよ!」 ルーヴ「了解!あと、一応増援要請を出しておくね!」 ルリアン「頼むでござる!」 そう言い終わると、彼女は謎の襲撃者に斬りかかる。 一方その頃… 本部隊員1「139調査隊並びに護衛隊から救難信号!要件は襲撃、対人増援要請!」 本部隊監督員「増援了解。一番近い部隊を出そう。誰が一番近い?」 本部隊員2「第1候補がソレイユとアージュの137隊、第2候補がリオンとフーレの138隊です!」 本部隊監督員「よし、ソレイユとアージュを向かわせよう。護衛していた観測隊はリオンとフーレの138隊に合流させておけ」 本部隊員2「了解、通信送っときます」 本部隊監督員「頼んだぞ」 場面は戦闘中のルーヴとルリアンに戻る ルリアン「ぐっ…やはり一筋縄ではいかないでござるな…」 ルーヴ「この狭い渓谷だと思うように動けない…けど出口は押さえられてる…どうしよう…」 ルリアン「後ろに下がっても袋小路、正面突破しかないでござるよ」 ルーヴ「だよね…」 そう言うと、WAOの出力スロットルレバーを最大に合わせる。 ルーヴ「ルリアン!しっかり掴まって!最大出力で突っ込んで逃げるよ!」 ルリアン「わかったでござる!」 ルリアンがルーヴのWAOに捕まると、ルーヴはWAOのモードをスタンドファイトからフルマニューバに切り替え、襲撃者が構える出口に向かって猛進する。 しかし、見積もりが甘かった。猛進してくる2人の前に「壁」が現れ、二人は勢い良く弾き飛ばされる。 ルーヴ「な!?」 2人は岩壁に叩きつけられ、相当な激痛に倒れ込む。 ルリアン「うぅ…」 朦朧とする意識の中、手品のように右腕で「壁」を消した謎の人物が、二人の方にゆっくりと近づいてくるのが見える。 その時だった。五芒星の形をした攻撃が襲撃者に迫る。襲撃者は寸前でそれに気づき、とっさに避けた。 攻撃を放ったのは、彼女たちの先輩であるソレイユとアージュの2人であった。 襲撃者はこれ以上の戦闘は割に合わないと判断したのか、不気味な羽音と共に身を翻し背後の空間に突如現れた穴に向けて撤退しようとする。 アージュ「逃がしてたまるか!」 彼女は雷鳴のごとく斬りかかるが、時すでに遅し。彼女の刃は虚空を斬っただけだった。 ソレイユ「2人とも大丈夫か!?」 その一言に安心した2人は、こう答え気絶した。 ルーヴ「何とか生きてます…助かりました…」 ルリアン「不甲斐ないでござる…」 ソレイユ「大丈夫じゃないじゃんか!すぐに本部に連絡するから、安心して!」 ソレイユがそう言う間に、アージュは既に通信を取っていた。 アージュ「アージュから本部へ。戦闘終了。2人は攻撃を受け気絶しています。襲撃者の情報はほぼなし。…観測隊?ソレイユ!渓谷の奥の方に2人の観測隊がいないか見てきて!」 ソレイユ「わかった!」 しばらく後 ソレイユ「この先には誰もいなかったよ」 「観測隊は付近にはいないと断定します。捜索しますか?…はい…はい…了解ピックアップ部隊を待ちます」 ソレイユ「一体何が起こったんだ…」 こうして戦闘は一旦の終わりを迎えた。しかし、これからが本当の戦いであることを我々はまだ、知らない。 リオン「138観測隊帰還しました」 フーレ「ただいま〜」 本部隊監督員「おっ!リオンとフーレいいところで帰ってきたな!ちょっと時間いいか?」 リオン「ん?まあ大丈夫かな」 フーレ「なになに〜?」 本部隊監督員「ちょっと場所変えようか」 【バルバレア帝国蛮神等対策局・海外派遣課栄愛拠点本部・第6会議室】 本部隊監督員「まずは137隊の護衛、急な事だったが無事完遂してくれてありがとう」 フーレ「急に無線で《137隊の観測隊のみ向かわせる》って言われてびっくりしたよ〜」 リオン「あれは一体何が起こったんだ?」 本部隊監督員「まずそこから説明しようか。」 本部隊監督員はおもむろに立ち上がる 本部隊監督員「まず、結論から話すと139隊が襲撃に遭って護衛についていた2人はかなりの外傷を負い、観測隊5名が全員行方不明となった」 フーレ「え!?ルーヴとルリアンの2人の隊が!?」 リオン「…詳細を」 本部隊監督員「戦闘場所は栄愛ストリートに近い渓谷、被害は観測隊5名、全員の行方不明、並びに護衛していたルーヴ、ルリアンの全治3ヶ月の外傷並びに一部記憶の損失…ああ、記憶が無いのは戦闘直前から帰還し目を覚ます間だけだ、神経系にはダメージが無いから復帰は可能とのことだ。」 リオン「なるほど…で?肝心の襲撃者の情報は?」 本部隊監督員「ほとんど不明だ…137のソレイユとアージュの2人が増援として向かったのだが、ルーヴとルリアンの2人の救助を優先した結果、情報はほぼ無し。分かることは体格的に人間であることぐらいだ…まあ結果論でしか無いがルーヴとルリアンの2人が無事なだけ幸いだな。」 リオン「…なるほど」 フーレ「…ねえリオンちゃん、これって…」 リオン「ああ、巷で噂の"あの"事件の状況に似ているな」 本部隊監督員「察しがいいな2人とも。そしたら本題に入るのだが、シュトルフ局長から調査要請が出ている。読み上げるぞ『昨今、世界各地で英雄級戦力を狙った連続襲撃事件、および異常な頻度での失踪事件が多発している。本局は、これらの事件を単なる偶発的な犯罪とは認めず、組織的かつ計画的な敵対行為の可能性があると判断した。 そして、先日発生した139隊の襲撃事件により、本局にも直接的な被害が及んだ。これはもはや看過できない脅威であり、バルバレア帝国蛮神等対策局として、事件の調査および解決を正式に命じる。』…だそうだ。2人とも頼めるか?」 リオン「わかった」 フーレ「任せて!」 本部隊監督員「そしたら『英雄連続襲撃事件、並びに連続行方不明事件の調査』をリオン・ラ・クルーラル、並びにフーレ・ヴァニーユに命ずる。」 リオン「拝命した。」 フーレ「了解!全力で調査にあたります!」