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【闇に纏いし異界の英雄】メアミス

【痛みは消えない】 あれからどれだけたった…… あの日も今日みたいな雨だったな…… 私は一般的な家庭に生まれてきた。特筆することは自営業であること。 その辺の公園で遊んでるような平凡な家庭で生まれてきた。 私はそんな家庭の中、両親の愛情をたっぷり受けて育ってきた。 私が中学校の頃だ、友達の家から帰ってきて父と一緒にご飯を食べる為に母と待っていた。 父が帰ってきた。だが父はいつものような笑顔ではなく神妙な顔で帰ってきたのだ。 なんでも近くに私の家でやってる自営業の内容と同じような内容で動いている大企業がやってきたようだ。 その時の私はその話をふーん。ぐらいにしか思っていなかったし、父も『何とかさせるさ』と言って細々とした事だけを変更することになった。 今思えばこの時既に引き金は引かれてたな。 その企業がきて3日目、突然私の店に嫌がらせが始まってのさ。 最初は小さな嫌がらせだったがその嫌がらせばどんどんエスカレートしていった。 店に無理難題を押し付けてきたり、納品2日前に突然注文を取り消してきたり、他には私の店を下げるようなレビューやデマを流されたり様々だった。 私はそれをおかしく感じ、友達と調査を始めた。そしてその調査のおかげで全ての嫌がらせがその大企業にたどり着くのに気づいた。この頃の私は17歳だった。 嫌がらせのしっぽを掴んで3日後、父が死んだ。トレーラーに轢かれて即死だった。 悲しみもつかの間、私の店は大企業によって買収された。悔しくて仕方なかったが私にはどうする事も出来なかった。 そして私は大学生となった。大学生となり高校から一緒の女性と付き合っていた。 特に何も起こることも無かったが3年のなったある日、まだ放たれた弾丸は飛んでいたのだ。 私は彼女と出かける予定を立てており、その準備をしていた。そしてデート前日に事件は起こった。 晩御飯を食べながらテレビを見ていたら突然とある最悪のニュースが流れてきた。 ある住宅街での火災、それも見覚えのある場所、そう彼女の家だった。 私は彼女の家に走った、おそらく過去最速で走っていった。これは夢だ、と思いながら走り彼女の家の前にたどり着いた。 燃えていた、建物全体が真っ赤に燃えていた。 ふと気づいた時、私は無意識の内に中に家に飛び込もうとしていて周りの消防隊に止められていた。 その後、私は彼女の家の前から動けなかった。消防隊は入れない、生存は絶望的と言われ私はその場で崩れ落ちてしまった。 2日後、彼女の一家は全員死亡が確認された。出火原因は父親による一家心中のようだ。 私は悲しみの中、心中理由を探して理由を発見した。会社からのパワハラ、社長から妻へのセクハラ、そして嫌がらせだった。 そしてその会社は私の父を奪った会社だった。 大企業で政治にも1枚噛んでるらくし法では裁かれなかった。 私はなんとも言えない感情に囚われた。そして私は復讐をしようと決意した。 日に日にやつれていく母や企業に殺された父や彼女を思い返すと殺意しか湧いてこなかった。 周りはもちろん止めようとした。『こんな事やっても意味が無い』、『復讐した所で失った物は帰ってこない』、『もう終わったことなんだから許してやったらいいじゃないか』。様々な事を言われたさ。 だが私にはその説得が1文字たりとも頭に入ってこなかった。 そこにあるのは決して取れない復讐心と漆黒に染まった殺意だけだった。 それから5年の歳月が流れ、ついにこの時が来た。 企業主と幹部のパーティ、今回は誰の欠席も無い。それに企業主の一人息子も参加している。 私は静かに狙撃銃を構えた。2km離れたビルの上、反射光の無いデジタルスコープ、一発だけの高速粉砕特殊弾。 死んでしまった父の顔、ついに衰弱死してしまった母、焼けてしまった彼女、私はしっかり顔を思い出した。 この一瞬、たった一瞬、企業主が音頭を取って乾杯する、そして護衛がいつもより1人少ない日が被るこの一瞬を5年待っていた。 時は来た 一発限りの弾丸に私の全てを込め、弾丸は放たれた。 頭を捉えた弾丸は、流れるように企業主の頭と横に居る息子の利き腕を吹き飛ばした。 全てを終え、私は達成感と無気力感に苛まれ、その後は何も手がつかなかった。 それからしばらくして企業は倒産した。なんでも色々な所に手を伸ばしすぎたのと隠蔽していた事実が全て露見し世間からも叩かれ、翼のように伸びた腕は簡単に折られてしまったようだ。 復讐を終えた後、私はあの企業の社長を殺し、倒産させるきっかけを作った英雄として被害者の家族や他の企業、裏社会などで呼ばれるようになった。 私の手はもう社会の闇によって汚れている。ならばもういいだろう。 私は狙撃銃を片手に歩き出した。 たとえ光の世界に歩けなくても、闇の中雨が降っていても、光を歩く人を闇から守ることは出来るはずだ。 闇は、光とともに広がるのだから 終わりし時、光より手が差し伸べられ 懺悔の時はやってきて、救いは必ず訪れる ちなみに目が赤くなった理由は、極度のストレスと彼女の家が燃えた光景と父の死が眼球にこびり付いたから