少女は歩む。作り替えた傀儡達と共に道なき道を。 少女は歌う。深淵の中、自らの存在を証明するかのように。 少女は踊る。地獄と化した世界の中で。高らかに嗤う悪魔達の暗い腹の中で。 月のない夜、鬱蒼とした樹海。全てが闇に溶け込む中、星明かりと少女の銀髪だけが夜を照らしていた。 前も後ろも分からぬ闇の中を少女は歩む。全てを知っているかのように迷い無く。 少女は歩む。高らかに歌いながら。愛する兵士達と共に、深い闇を湛えて。 ふと視界の端に光の軌跡。それに誘われるかのように少女は歩みを止めた。目を向けると、今にも消えてしまいそうな小さな人影が宙に浮いている。 溺れる者を咄嗟に掴むかのように少女は手を伸ばす。友愛を重んじる純真無垢な手から放たれるのは、夜すら食い破るかのような悍ましい冒涜。 しかし、その冒涜が小さな人影に届く事はなかった。何かが拒絶するかのように、夜への闇と溶ける。 はて……と頭に疑問符を浮かべる少女。気を取り直し、再度伸ばした手は『何か』に弾かれた。 「不敬であるぞ、小娘」 刺すような声で告げられたのは、明確な拒絶。現れたのは、水鳥のように長い脚を持つ奇妙な梟。 「選びたまえ。この地を去るか、この地で果てるか」 その梟は、小さな人影を庇うかのように片翼を広げた。 全てを愛し、愛される冒涜者である彼女にとって、拒絶される事自体がまるで意味不明だった。 けれども取る行動は常に一つ。全てを友愛で塗り潰すのみ。 「皆!!」 「皆とは、そこに転がっている木偶の坊達の事かね」 少女が慌てて周囲を見回すと、愚かな兵士達は泥のように眠っていた。 昏き冒涜の手も出せず。扇動の声すら届かず。あるのは梟……否、悪魔『ストラス』の冷たい睥睨のみ。 「鮫以外の干渉も受けておるようだな。己の力量すら分からず、無差別に牙を剥くとは愚かなり……」 警告はしたぞ。と、鋭利に輝く鉤爪が少女の眼前に迫る。闇夜ごと少女を引き裂くかと思われたが、その間に何者かが割って入った。ストラスの脚が止まる。先程庇った筈の小さな影。慌てて引き剥がそうとするストラスを制止し、小さな影『ラビア』は少女『フォルネ』へと言葉を紡ぐ。 「ファンです。サインください」 To be continued…… ───────────────── はじまり (良いネタをいただけて感謝です!) https://ai-battler.com/battle-result/cly34etpc021is60o1mmqbsky 綺麗に撃破されて退場するヴィランも好きなのですが、比較的平和なキャラクターなので出しやすいし、勝てると嬉しいものですね。 https://ai-battler.com/group-battle/a8093c9d-d12d-42c1-99bb-12a41ded2baf