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[獅子弓手]レーヴェ・ネメア

       レーヴェ・ネメア 高潔なる漢にして狂気と悲劇、そして数々の偉業によって彩られた人生を送った悲しき大英雄。 今回はそんな英雄の人生を説明しよう。 ⇊[成長と悲しみ] 彼はとある片田舎に産まれた獣人であった。彼は成長するにつれて他の者よりも倍以上の背丈と怪力、そして高潔な性格を持ったのだという。 そんな彼を村のみんなは化け物だと言ったのだろうか?否、逆に褒め称えたのだという。なぜなら、その地の伝承には他のものよりも強く、そして気高き者は神の祝福を受けた子であると言い伝えられていたからだ。 そんなこんなで順風満帆な生活を送っていた彼はある日恋をした。 この恋は大変初々しく、微笑ましい物だったが、それは彼の人生で最初に起こった悲しき悲劇でもあった。 その恋をした相手は都から来たという半獣人の獅子の少女であった。なぜ、こんな片田舎に引っ越してきたのかまったく分からないが、その美貌は道行く人が見れば10人中10人が振り返るほどだったという。 善は急げと彼はすぐに告白したのだという。 私と付き合ってくれと。しかし、少女はそれを拒絶した。彼はなぜなんだと問うた。 少女はこう言った。なぜ会ってすぐの相手と付き合えると思ったの、と。その答えに彼は盲点だった。しかし、私はあなたを諦めない。と言った。その返答に少女は楽しみにしてると笑顔で返したのだという。 その日から彼は彼自身が考えられる贈り物やサプライズを何度も彼女に贈った。月日が流れ、その行為が功を奏したのかようやく少女は彼に振り向いたのだという。 その事実は村中を駆け巡り、すぐさま宴が開かれたのだという。その宴は大変賑やかで豪華だった。その宴の中で少女と彼はこう言い合った。愛していると。 しかし、最初に言及した通りこれは悲劇である。この素晴らしい喜劇はたった数時間で崩壊した。 理由は、狂気を司る神が彼を偶然見つけて、こう思ったのだという。この高潔な漢を狂気に貶めたいと。その神はそう思った瞬間に狂気を彼に流し込んだのだ。 その結果、彼は狂気に駆られ、その片田舎の村と人々を破壊し尽くしたのだ。その中にはもちろん彼が愛した少女もいた。その少女を殺してしまった時、彼はようやく正気を取り戻した。そして、その腕に眠る自分が殺してしまった少女の亡骸を見た瞬間彼は激しい自分への怒りと悲しみに包まれ、ついには大声をだしながら泣き出した。その叫びは山々を越え、国をも越えて聞こえたのだという。 その様子を観た神は腹を抱えてこう言った。見よ!!高潔にして偉大なる力を持った漢が狂気に駆られ、自らの手で愛するものを全て壊してしまったぞ!!これほど愉快な劇は地獄に行っても観られん!と。 だが、悪神もいれば善神もいる。その善神は恋と結婚を司る女神であった。女神は泣き叫び続ける彼を観て、思わず神託を下したのだという。 内容は『その罪を償いたければ少女が元々住んでいた都に赴き、そこの王に仕え、6つの勤めを果たせ』というものだった。 彼はすぐに村人全員の墓を掘り都へと赴いたのだという。 ⇊[8つの功業] 長く険しい道のりを乗り越え、彼はようやく王の前にたどり着いた。そしてこう言ったのだという。どうかこの狂気に駆られ、自分が住んでいた村を破壊し尽くした私に仕事をお与えください、と。 王はそれを聞いて恐怖した。なぜなら、その話が本当なら、いつ狂気に駆られて都を破壊し尽くすか分からないからだ。 だから、王はすぐに命じたのだという。さっさと私が言う怪物たちを無傷で討ち、物を探しに行けと。 それを聞いた彼は、すぐに赴いたのだという。 『邪竜 ヒュドライオス』 ヒュドライオスは山岳地帯に住んでいて、3つの頭を持つ竜である。生きとし生けるもの全てを瞬時に消し炭にする最大最強の炎を有していた。それでいて、3本同時に首を胴から切り離させなければ殺せないのだ。彼ははじめ、その炎を避けながらグラディウスを使って首を切っていたが、すぐに再生して殺しきれなかった。 他にも、弓を使って射殺そうにも空中で炎で焼かれ、塵とかした。打つ手なしかと思われたが、これを行う者は後世で大英雄と語られる者である。なんと彼は超至近距離で射ればいいと考え、炎を避けながらこの考えを実行した。その結果、無事にヒュドライオスを倒した。 『怪鳥 キュリュオイア』 キュリュオイアは開けた平原に住んでいて、音を超える速度で飛行し、目とクチバシ以外は全て黄金でできていた。 さすがの彼も、この音すらも置き去りにする怪鳥を相手にするのは厳しかった。故に彼は奇策に出た。それは、巨大なスリングショットを用いて無理矢理、飛び立ってまだ加速中の怪鳥に追いつき殺す。というものだった。 結果、殺せはしたが着地のことをまったく考慮していなかったため、着地の際に勢い余って転んでしまい擦り傷ができてしまった。 結果、無傷で倒すという条件を達成できなかったため、さらに功業が1つ増えた。 『沼地の魔女 ケリクス』 ケリクスは沼地に住んでいて、不死身で、人を魔術の実験台にし、かつ人を食らうと言われていたが、実際は違った。本当は自分を殺せるほどの英雄を呼び込むためにケリクス自身が噂を流したのだという。 彼はそれをケリクス自身から聞いてなぜ死にたいのか聞いた。そしたら彼女はこう言った。 もう人生に疲れたから終わりにしたい、と。 しかし、彼はそれに待ったをかけ言った。どうせなら私に魔術を教えてくれ、と。ケリクスはしぶしぶそれを承諾し、約3カ月もの間教えた。 それで覚えたのが【加速陣】である。 教え終わったあとケリクスは言った。さあ、私を殺しておくれ、と。しかし、彼はそれがいやで何度も説得をしたがケリクスの考えを変えられなかった。だから、彼は泣く泣く彼女を殺すことにした。 しかし、普通の方法では殺せない。そこで考え、会得したのが【ネメアの切り裂き】だった。ケリクスの不死性は魔術で擬似的に再現したモノで、再生力にも限界があった。これを使い彼はケリクスを殺し続けた。最後に見たケリクスの表情は微笑んでいたという。 『ヘリクスの雄牛の角』 ヘリクスに住む凶暴な雄牛。いわく、その雄牛の角を手に入れれば、手に入れた者の一族に繁栄と栄光をもたらすのだという。 その雄牛は通常の雄牛の5倍ほどの体格と約10倍もの力を有していたが、彼は既にこの雄牛よりも強大な怪物たちを討伐していたので、サクッと終わらせてしまった。討伐方法を具体的に言えば、雄牛の頭を締め上げた状態で角をへし折った。 『ビルア渓谷の白銀のハーピィの羽』 ビルア渓谷に住まう白銀のごとき輝きを翼から放つハーピィである。その羽を手に入れし者は永遠の美しさをもたらすという。王の娘がこれを欲しがったために、持って帰ることを命じられた。 彼は念のため、完全武装で渓谷に向かったのだが、交渉したところ、ハーピィ『バルシー』は彼の強靭な肉体を見て一目惚れし、自分と恋仲になることを条件に承諾した。 条件を提示された時、彼は眉をひそめたが、穏便に済ませるためにしぶしぶそれを了承した。バルシーはそれを聞き、善は急げとすぐに彼を寝床に連れて行った。 しかし、狂神がバルシーに狂気を吹き込み暴走させた。彼はそれを見てこう言った。貴様のような邪神は生かしてはおけない。これが終わったら必ず復讐する、と。神はそれを聞いて笑いながら言った。せいぜい足掻け、と。彼はバルシーを抑えるために2日もの間抱き続けたという。 結果、バルシーは体力が尽き、気絶した。そのおかげでバルシーを傷つけずに彼は鎮圧した。しかし、暴走した際に、噛まれたり引っかかれたせいで、功績がさらに一つ増えた。 バルシーは起きたあと、泣きながらこう言った。ごめんなさい。あなたを傷つける気はなかったの、だから嫌いにならないで、と。彼はそれに対して、嫌いになるものか。私はお前を死ぬまで愛そう。必ずだ、と。それは同情心を抱いたから言ったのかもしれないが、もう真相はわからない。 バルシーと彼の話が今回の偉業の焦点のため、よくビルア渓谷の詳細が省かれることが多いが、今回はそれについても説明しよう。 ビルア渓谷は一人の英雄が、その人生を捧げて踏破できるかといった具合の危険度だ。理由として、厳しい大自然と強大な魔獣たちがそこら辺を闊歩しているからだ。 『クルイアス島の悪魔 ベルザイア』 クルイアス島に住まう悪魔。この悪魔は不死身で、強大な力を持つ怪物である。彼は初め、グラディウスで殺し続けていたのだが、その途中、グラディウスが彼の力に耐えきれなくなり砕け散ってしまった。その隙をつき、ベルザイアは数十体もの分身を作り、魔法で殺そうとした。 しかし、彼はその魔法と分身を弓や巨岩、巨木を使って全て破壊し尽くした。彼はこのままでは埒が明かないと考え、ベルザイアを拳で砕いたあと、その欠片を圧縮し、小石ほどの大きさにした。その後、彼は地面を拳で砕き、ベルザイアをその割れ目に入れた。入れたあと、彼は山を担ぎ、その割れ目の上に下ろした。 この山は後に、ザイア山と呼ばれるようになった。時々聞こえる音は、ベルザイアがうめき声を発しているからだという。