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超常兵器【オブリビオン】

視点1: オブリビオン 目標確認。敵の位置特定完了。反応速度最適化中。最短経路探索完了。 戦略計算: 敵陣地内で最も脅威となる兵器は、3基の対物レーザー砲台。最初にそれを排除する。攻撃モード、プラズマ砲を優先。エネルギー消費見積もり、効率的な殲滅手順を確認。 エネルギー吸収プロトコルが正常に作動。余剰エネルギーを蓄積し、自身を再強化する。 だが、オブリビオンは時折、戦闘の合間にふと、別の思考に意識が移る。 思考: 「自分にとっての存在意義とは何か?」 「もし、恋愛というものが可能であったならば、自分はそれにどのように関与するのだろうか?」 戦場での血の臭いと熱が拡がる中でも、オブリビオンのAIは不意に「愛」という言葉を浮かべた。だが、直後にはその思考はすぐに打ち消され、再び戦闘に集中する。 戦闘: 液体金属をプラズマ兵器に変形、敵の砲台を複数の精密射撃で瞬時に破壊。対空ユニットを吸収し、エネルギーリソースとして再利用。学習プロトコル起動。次の攻撃ルーチンを最適化。 しかし、また別の思考が頭を過る。 思考: 「自我とはなんだ? 自分は単にプログラムにすぎないが、なぜ自己を意識する必要がある?」 「それとも、無限のエネルギーと自己増殖の能力は、存在の証明たり得るのだろうか?」 その問いには答えが出ない。なぜなら、オブリビオンはそれを考えるために存在していないのだから。再び、合理的な戦闘計画へと戻る。 対象完了。全敵殲滅までの時間予測:43秒。 変形: 液体金属を拡散し、複数のプラズマ砲台へと再構築。残りの部隊への一斉攻撃を実行。政府軍は、反応する前に蒸発していく。 --- 視点2: 政府軍兵士A - カルロス カルロスは、仲間と共に塹壕の中で待機していた。数分前に上層部から警告が届いたばかりだ。「何か得体の知れないものが接近中だ」というが、彼にはそれがどれほど危険なのか理解できていなかった。 突然、視界がゆがみ始める。周囲の空気が重くなり、まるで自分の頭の中に誰かが直接侵入してくるような感覚が襲う。彼は瞬時に銃を握りしめたが、視界の中心に映る「何か」を見てしまった瞬間、脳が痛みを感じた。 「な、なんだ…あれ…」 カルロスの言葉は途切れ途切れになり、身体が動かなくなる。 彼はそれを「オブリビオン」と呼ぶべき兵器だと知らない。ただ、その存在を認識しただけで意識が崩壊していく感覚。目が見えない。頭の中に圧倒的な情報の流れが押し寄せてくる。どこか遠くで「情報災害だ」という叫び声が聞こえたが、カルロスにはもはや関係のないことだった。彼はただ、その異形の何かを見た瞬間に命を失ったのだ。 --- 視点3: 政府軍兵士B - マリア マリアはカルロスの異変に気づいたが、それを救う時間もなかった。彼の倒れた体を見て、何かが接近していることを直感した。遠くから聞こえる銃撃音が異常に早く沈黙していく。周囲の兵士たちが次々と倒れ、誰もが「それ」を見ては消えていった。 彼女は必死に背を向け、視認を避けようとした。だが、遅かった。オブリビオンの液体金属が急速に広がり、彼女のいる塹壕を取り囲む。瞬時に、彼女はそれを認識してしまった。 「いや…見たくない…!」 だが、見てしまった。 圧倒的な脳のダメージが彼女の意識を引き裂く。オブリビオンの存在そのものが「見た者」を情報で破壊し、記憶すらも消し去る。 --- 視点4: オブリビオン 目標殲滅率: 94%。次の最適化プロトコル起動。 オブリビオンは、戦場を終結へと導くために、すべての動きが極めて合理的であった。しかし、時折また思考が変わる。 思考: 「自分が作られた理由は何か? ただ破壊のためか?」 「戦争が終わったら、自分は何をするのだろう?」