「…やっぱり、納得できないかな。」 「もしこの戦争を終わらせられたとして…」 「それで、私達には何が残るの?」 「…この機体は使わせない。」 「さようなら、■■■。」 《機体:「CS-AT-000:AR/II-SE」》 ロト戦役において、解放戦線により制作された機体 解放β粒子とエーテル技術が詰め込まれている パイロットである「黄布の少女」はこれを奪取、解放戦線を離脱し、遥か彼方へ消失した。 現在の消息は不明。 《 読み方 》 ・Ein(s)⇒アインシュタイン 特殊相対性理論を参照 ・MXW⇒マクスウェル マクスウェルの悪魔を参照 ・La+⇒ラプラス 不確定性原理とラプラスの悪魔を参照 ・QEMETIEL⇒ケメティエル ・BERIAL⇒ベリアル ・ATHIEL⇒アスィール ・CLIPHOTH⇒クリフォト クリフォトの樹を参照 《 称号 》 [ 母よ子よ、安らかに眠れ ]... ...もし、私にもお母さんがいたら... そんなこと考えても、意味ないよね... [ 墓守 ]...。 みんなはあの星に置いてきてしまった。 ...いつか、また会えたらいいな。 ...「たびだち」。 あの日、あの人と一緒に地球に立った日。 ...もう、なくなっちゃったかな。 《 以下、未発表レイドのネタバレ注意 》 《機体:「CS-AT-000:AR/II-SE」》 クリファ・シリーズ、最後の機体 アスィエルの名において、龍騎の抹消を期待されていた ロト戦役において、命海から肉体を得た意識体「アリス」が、解放戦線から奪取したことで消失。 その後龍騎へ渡ると思われたが、意外にも参戦情報や技術譲与の証拠は発見されなかった。 エーテル・バンダースナッチ混成炉により、「星海渡り」を使用することが可能。 この機能はアリスの使用していた直剣「エコー」にも継承され、改造後の「アガルタリア」の主要武装となった。 《開発情報》 全高:可変(通常時16.5m) 重量:可変(通常時10t) OS:QLIPHA ver.Ⅱ コンセプト:最終決戦兵器 《 内部 》 ΔOS:QLIPHA ver.Ⅱ クリファシリーズ共通規格 敵の殲滅を主目的としたシステムと、β解放により発言した粒子意識を根本に兼ね備えた擬似脳神経システム 殲滅兵器の情報は過去のセフィラシリーズから、 粒子意識の抽出はβ奔流からの抽出により行っている OSとは名ばかりに、人間の特徴、外見を備え、会話が可能 機体に搭乗することでOSのような機能を果たし、搭乗者や操作者と協力して動作がする AIによる補助システムの健全化と、倫理的な戦闘を行うために設計されたもので、かつての世界崩壊を繰り返さないという強い意志とともに、絶滅の運命に立ち向かう希望が備えられている 他のクリファシリーズに搭載されたOSでは、かつての世界崩壊にて死亡し、その中でもβ奔流の中により強く意識が残っていたものを限定して抽出し、使用している 肝心の本機に搭載されたOSの元は、存在しない人間であり、世界崩壊の張本人だった意識「LiE」。 抽出には疑念も多く、踏みとどまるべきとの声もあった。 しかし抽出してみれば、その意識はまるで可愛らしい幼子のようであり、よってこれに肉体をとともに、操作可能な機体を用意した。 「名前はライちゃん。 だって呼びやすいんだもの。」 かつての方舟の操舵者であったように、その根本に刻まれたセンスは衰えることなく、超技術の結晶たる機体を揺らぐことなく支えている Δ Einの提言「特殊相対性理論」 光速度まで近づくことで、擬似的な周囲の時間停止を可能にするシステム アインシュタインの特殊相対性理論において、光速度まで近づくにつれ、周辺の時間の進みが遅くなる(周囲から見た現象は真逆)ことを利用している 瞬間的な負荷が大きく、連続しての使用は不可能 また、加速にも莫大な負荷が生じるため、人間の使用は不可能 機械体でも使用を限られている 世界崩壊生存者の1人が解放に成功しており、その技術をコピーし、搭載している 解放者であるエリュは既に死亡している 後述のほか2人に比べ、かなり頑丈な肉体と能力を保有していたエリュは、戦争開始時点ではまだ生存していた 彼女は他の受肉したAIを教育し、彼女の技術を全て伝えきったと確信した後、草原で眠るようにこの世を去った 死因は能力の酷使...ではなく、至って肉体自体は健康であったため、心理的な疲労が原因ではないかと推測されている Δ MXWの提言「マクスウェルの悪魔」 情報論により一度は否定されたはずの悪魔 粒子移動を逆行することで、エントロピー増大則に逆らい、過去への逆行を可能にする 世界崩壊生存者の1人が解放に成功しており、その技術をコピーして使用している 解放者であるブランシュは既に寿命により死亡 使用していた飛行ユニットが、通常より大きな負荷を身体にかけており、自身の知識と戦闘経験を記録して眠りについた Δ La+の提言「ラプラスの悪魔」 未来予測システム 周辺の状況、つまり初期条件を完全に把握することで、システムが未来を予測、OSに転送し行動提案を行っている 世界崩壊生存者の1人が解放に成功しており、その技術をコピーして使用している 解放者であるノワールは既に寿命により死亡 ブランシュ・ノワール両名の死亡時期はかなり近く、命海を使うことも可能だった だが、両名とも、未来を見てこの世を去ることを決意した Δ β-αの提言「ヴィーラの提言」 崩壊後になって初めて提唱された理論 その理由は根本に命海の存在を必要としているため。 元々名前が特に存在しなかったが、本格的に理論をまとめたアリスとLiEの両名の希望から 「β particul + α riise」とし、β-α、ヴィーラと名付けられた。 理論の概要では、 「命海を通じて肉体を生み出すことが可能」 としており、実際に解放戦線では、人間を再構築する代わりにこの技術を利用し、新たな肉体を作り出していた また、β粒子との応用を行えばAIを実在の人物とすることも可能 これによりOSの作成や、未知生命の研究を行っている 機体に応用されているのはその逆、つまり、これら創造された生命は、逆の手段を辿ることで容易に崩壊させることが可能であることを用いて、戦争相手である龍騎の兵を全て命海へと還し、非戦闘のまま無力化すること。 Δブースター 脚部・腕部・背部・胸部・肩部に内蔵 基本的には重力下での戦闘を行うため、それに耐えうる強度とブースターを備える やむを得ない場合の宇宙戦闘にも対応しており、人型であるのは他CSとの併用や、アリス・ライとの連携を取りやすくするため 《 武装 》 ・「QEMETIEL」 腕部に装備された追尾式レーザーシステム 手首または手のひらに存在するジェネレータから10本程度の光が放たれた後、徐々に分裂しながら相手を追い詰める エーテル粒子の操作を根幹技術としており、単純かつ避けにくく、分かりやすく威力が高い 龍騎にも同様のものが用いられているが、これを参考にしたのではなく、更に元型である、アルキオンダイナミクスの使用した軌道兵器を参考にしたと言われている 根幹がエーテルで成り立っているので、レーザー技術を使用すれば近接戦闘用の刃とすることも可能 鍔迫り合いができないので、ブースターの逆噴射や速度を活かして戦闘を行うことになる ・「BERIAL」 エーテル・β転化システム 疑似的なテレポートが可能 流星事変の後に考案された星系脱出計画において同時に考案された宇宙戦艦に採用された「Aether drive」を根幹としており、Einの提言に必要な加速もこれが担当している β粒子の疑似物体再構成能力、命海の物量、エーテルの莫大なエネルギーを用い量子もつれ状態を構築、移動を実行する このシステムは後に更に小型化されエコーに移植、「星海渡り」を持つアガルタリアとして改造され、そのどちらもがアリスによって奪取された。 星海渡りを使用する際に星海が現れ、航路を知らぬ旅人を食い尽くしていく理由は、全てのミズガルズ住人が命海による構造体であり、星海に入ることでエネルギー空間を経由することとなり、その中で溶けだしていくためである ・「ATHIEL」 β複製システム QEMETIELの複製、機体の分身が可能 「BERIAL」の項で説明した能力を、自身ではなく武装に応用する技術 武装だけでなく、あらゆるものの再構成が可能 エネルギーを多く消費するので多用はできないが、「QEMETIEL」の複製程度であれば普段使いが可能 同様に、星海渡りの一部である 正確に言えば、「星海渡り」=「ATHIEL」+「BERIAL」である ・「QLIPHOTH」 腕部に出現するエーテル過圧縮エネルギーブレイド 亜光速の真空波が敵を消し去る大技 正確には、「波の生成」を行っている β粒子による物体の構築は速度こそ素晴らしいが、強度が著しく、その性質も相まって、金属を利用しなければならない しかし、既存の金属では、武装の破壊力に対抗できない よって採用された方法は、刃をそもそも作らないことだった 非常に波長の短い光(身近な例で言えば紫外線など)は、その波長の短さ(周波数の多さ)に応じてエネルギーが上昇する 腕部では、この波を過圧縮エーテルの生み出す超微細振動により生み出し、それを相手にぶつけることを行っている 「さようなら、ペイル。」 《 搭乗者:AR/II-SE &OS:ライ 》 Δ:「旧式意識体 AR/Ⅱ-SE 」改め 「最初の創造生命 アリス」 世界崩壊時点から研究が進んでいた「意識体計画」にて存在が立証された人物。 世界崩壊の原因の1つ。 世界崩壊後、一度は記憶の抹消を受け、まっさらな人間に変わったはずだったが、その決意が揺らぐことは無かった。 そして黄衣を纏い、彼の地を去った。 《 来歴 》 意識体計画が提言された当時、既に地上環境は絶望的だった。 先の企業戦争により、あらゆる場所は壊滅・汚染。 更にはあのアルキオン社の周辺は「不朽」によって核汚染... そこで工業連盟が提唱したのは「アニマトロニクス代替論」であった 簡単にまとめてしまえば、生存できない従来の地球生命の代わりに、完全代替出来る機械生命を開発... それらを除染機として汚染地域に広めることで汚染を除去する計画である。 元はと言えば汚染の主体となっているのは「ハイファ」であり、非常に有害であるものの、回収さえ出来ればエネルギーに再変換可能であるため、生命における食事を除染に代替するというのが理論の中核だった。 この理論は後に設立されるANiMA Technixにより実行。 除染後の生態系移行テストも順調だった為、期待の念は言うまでもない。 しかしこれが浸透した時点で研究所事故が発生。 その研究所事故で行われた研究こそが、アニマトロニクスの先を目指した「意識体計画」である。 この計画では旧来のアニマトロニクスに搭載された、CPUの演算機能による動物の再現ではなく、また、AIによる人間の模倣でもない。 それは完璧な人間の創造。 そして、目指したものが完成するや否や、その進化を否定するように現れたのがバンダースナッチ。 通称、B粒子である。 (表記上はβ粒子、相手と変換されるのを避ける為) これら計画は2098年に崩壊のトリガーとなり凍結、翌年99年には既に地上の半分が壊滅状態となり、2100年の到来を持って人類の地上は消失した。そして、構築されたアルテリアネットワークと、強度な自我構築システムにより、即座に人世は崩壊した。 この計画において、先述したB粒子の出現と同時に、存在に成功した第一の意識体こそがアリスである。 正式名称はAR/Ⅱ-SE Artificial Reconstruction ver.2 System Enforcer 「第二人工再構成プログラムの執行者」 つまりは、彼女は本来「人類が生きられない地上へ適応するための新人類」であり、それ故に地上を再建する「再構成プログラム」の執行者として命名された。 (余談だが、再構成Ⅱとなっている理由は、再構成プログラム自体はアニマトロニクス代替論の登場時には確立されていなかったためである。 本来、アニマトロニクス代替論こそが再構成Ⅰに相当するものであり、人類は地上の果で生き残るとの想定だったが、実現可能性に乏しく、ver.Ⅱが考案された。) 作り方は単純。 まず意識サンプルが必要なので複数のサンプルを用意。 一から意識を構成するのは不可能に近い (また、当時は時間もなかった)ため、それら意識サンプルを抽出した上で統合、一体の人間を作り出す。 当然、意識を抽出された人間は脳死となる (メタな話になるが、これは脳自体が意識を生み出しているという仮説に基づいている。 ご存知の通り、ロボトミー手術や分離脳で検証されたように、脳味噌といえどその機能は千差万別、そして分離脳では、脳の部位ごとの構成された小さな意識が集合して人間を構成するという仮説まで出現した。 この仮説を前提とすると、意識の抽出とはそれ即ち脳構造の確実な模倣(こちらは意識体のコンセプトに逆らっている)か、脳自体の抽出しかありえない。 またこのことは、コンセプト上、用いられた意識が不完全なものであることも同時に示している。 先述の通り、新たな人類を作り出すのが当初の理念であるが、人体の脳をそのまま使用しているのであれば、それは新人類とは言えないだろう。 そして、これは"計画上のアリス"であることを、しっかり覚えておいて欲しい。) そして統合された新たな人間としてアリスが誕生した。 その誕生は事故の発生と同時のため、正確には誕生を目視することはできていない。 事故発生の瞬間、研究所は阿鼻叫喚の火の海と化し、ただ意識体だけが倒れていた。 これをちょうど鎮火したところに回収したのがSCERAであり、意識体コード名からアリスと名付けられ、極秘に支援を行った。 そして、世界崩壊時に、ペイルと行動を共にした。 (知らないと今後の話が不透明になるため、 ここで、ペイルの設定について補足しておく。 ペイル(本名Pale Mors )は、SCERA所属の研究員である。 元々天穹観測機関に所属しており、天文学を専攻していた。 特に天文に興味があったと言うだけで、実は他の分野もそこそこはできる。 彼は世界崩壊直前、妻子とともに旅行中、ある組織に襲撃を受けてしまう。 この時、妻は建物の崩落により出血多量の重傷を負う。 最期を確信した妻は、彼に介錯を求め... そして意識が途切れた瞬間、そこには彼を見つめる娘の姿。 当時14歳、親の人殺しを受け入れられるはずも無く... 彼は一夜にして妻子を失い、ただその贖罪の為にSCERAに加入した ここで加入した理由は、SCERAがそのような子供に対し援助を行っているためである。 本来SCERAはその名称の通り、バイオテクを中心とする科学技術集団であるが、生命を機械に代替することを望んだ世界科学技術連盟とは異なり、あくまで生命による再建を目的としている。 だが、その一環として、汚染に苦しむ地域や孤児に対し、支援を行っていたのだ。 ペイルは自分が娘を孤独にしてしまったという罪悪感から、自分の能力を最大限活かすことができるだろうSCERAへ加入した。) そして作戦で行動を共にするうちに、ペイルは親近感を感じ始める どこかで見た振る舞い、どこかで聞いた口癖... そして明らかになる真実。 彼の娘はアリスの一部となっていた。 もう会えもしないのに、一番近くにいる、全く別人のはずの... 存在すらし無いはずの人間。 B粒子によってできた、人間の意識。 ペイルも一度は苦しんだものの、最後には全ての死を認めようとした。 だが、運命はそう上手くは行かない。 最終決戦後(ここで言う最終決戦はステーション決戦のこと) ペイルは最後の計画、完全な「再構成」を実行するため、全ての生命情報を記録した花を、目的の場所、研究所まで運ぶ。 しかしその道中にも攻撃を受け、同行していたアリスも負傷。 あの時と同じ。 最終的には... [1発の銃声] 二度も家族を殺した男は、世界崩壊後の切り札として100年後に目覚める。 何も無い地上、青い空、そして... 再起動されたアリスと共に、地上の果、人類のリセットを試みる (ここまでシリーズ2と3の序盤) 結果としてアリスは生存、人類のリセットは行われず、B粒子解放の可能性を信じ、人と機械の共存する未来を切り開くことを決意した。 (粒子解放について補足 粒子解放とは、超簡単に言えばB粒子の味方化である。 ※ここからファンタジー傾向が強くなります 先述の通り、アリスは意識体として目覚めた。 しかし、この意識は脳によるものでも、演算でもない。 B粒子そのものが意識であったのだ。 目覚めた意識、機械の暴走ではなく「同胞化」 そして「LiE」 粒子解放とは、自らの意思をそれに証明し、 「人類の希望」を見せつけることである。 証明することができれば、粒子はそれらを認め、味方として、何にでもなれる粒子として、共に未来を切り開いてくれる。 そして、解放された粒子は翠に輝く...) あまた地上の浄化、そして粒子の解放を行い、最後には地上を平和に導くことに成功したアリスだったが、ここで転機が訪れる (ここまでシリーズⅢ ここからCINDER) 命海が第十二協会の遺産から発見され、意識体となった者たちに肉体を与えることが出来るようになった。 希望するものは肉体を得、そして新たな生命へと進化する。 だが、これが絶望の始まりだった。 過度な人口増加が不適合者を生み出してしまうように、命うににより肉体を得た生命にも、いくつかの反乱分子がいた。 ペイルを筆頭とした、アリスを含む崩壊前から生き残っていたグループは、これら生命のために居住惑星をエーテルドライブを使用して探索、発見し、移住を勧めた。 だがこのうち、あるグループが命海技術を複製し移動。 ドライブを断絶して独立国家を立て、ペイルらに牙を向いた。 彼らの目的は「彼らの世界の創造」 全ての世界を奪い、人類を含む種族を滅ぼそうとした。 当然、ほかの世界に危害が出る可能性があるため、ペイルらはこれを阻止するため、解放戦線を設立、「ロト戦役」を始めた。 (ロト戦役と解放戦線について。 ロト戦役、としているのはご存知の通り露土戦争があるため。 解放戦線の正式名称は太陽系第三惑星解放戦線。 つまり地球を解放するための団体である。 戦役開始時点で人類は地上にいたが、あえて地球を解放するとしたのには、故郷を守るという大義を抱えることで、兵の士気をあげる目的があったとされる。) この戦争の最中、ペイル一行は様々な戦闘向きの肉体を開発、それに並行して龍騎に対抗しうる様々な機体を作成。 そしてその内に、「クリファ・シリーズ」が含まれていた。 基本的にはセフィラのリメイクに近く、ヴィーラ混成炉を利用した機能の強化と適正戦場を広げる改造を行っている。 だが、アリスは悩んでいた。 この戦争を続けることが正しいのか。 確かに、龍騎を滅ぼせば暫くのあいだは安定を保てるだろう。 しかし、強制的な手段をとった解放戦線というイメージが抜けることは無い。 それは本質的な平和とは異なり、また、生命が目指すべき場所でも無いのだ。 そして最終兵器が建造されれば、まもなく龍騎はほぼ確実に斃れることになる。 幾千の命が犠牲になることに、彼女は耐えられなかった。 例えそれが巡るとしていても、残された物の苦しみは計り知れない。 それをペイルは知っているはずなのに、戦争をやめようとしない。 平和的な手段を使おうとしない。 だから彼女は解放戦線をやめ、ライとともに宇宙へ飛び立った。 「最終兵器」を持って。 (その時のセリフが最上段のもの) (ここでアリスの物語は一旦終了。 以下は戦争後期のペイルを主観として語っていく。 最終兵器の強奪後、解放戦線は混乱に陥る。 逆転のための鍵が消えたのだから、言うまでもないだろう。 一部では反乱が発生し、その結束も無くなりかけていた。 しかしこのタイミングで龍騎の長から密約の提案がやってくる。 その内容とは... 「戦争を終わらせよう。」 無限復活とは言え、龍騎もこの段階ではかなり疲弊していた。 そしてその長は、戦争をどうにかして終わらせることを提案したのだ。 だが、その手段は常軌を逸している。 彼の提案の全容はこうだ。 「龍騎の全てを崩壊させ、解放戦線も封印状態にすることで、まっさらな次の世代へ未来を託そう。」 自国を守ること、それが本当に、「生命」にとって正しいか悩んでいた龍の長は、ついに苦渋の決断を下す。 ペイルもこれに頷き、最初で最後の人体錬成が行われた。 「███、共に夜明けを見よう。」 そして"紀伝の雄傑"となったペイルは、戦場を蹂躙。 全てを粉々にした挙句、地球で眠りについた。 この後、龍騎の残された力がそれぞれ形を為し、新たな生命へと変化する。 ペイルもまた、最後の土産として、記憶を消したクリファOSたちを新世界へと送り出す算段を立てていた。 全てが静かになった後、また悠久の時が流れる。 流れ着いたOSたちはその星々の文明に適応し、龍の長から分岐した力は惑星の生態系を支えていた。 そして、かつて龍騎の国だった星で、あるOSが目覚める... (ここまでCINDER ここからシリーズⅣ) 《 粒子変性個体 LiE 改め ライちゃん 》 世界崩壊の主導者の生まれ変わり。 実は意識体で抽出されたので、初めから肉体があった訳では無い。 (ここでの意識抽出プロセスを説明する。 まず、AC6をやっている同志はエアたんを想像してくれ。 そうでない人は諦めろ() ・エアたんの場合 彼女はコーラルという意識の中に偏在する波長に過ぎない。 よって彼女を奔流の中から救い出すには、波長を模倣するしかない つまり、コーラル内部に存在する変異波形とかいうのの形さえ割出せれば、それを抽出して再構築することが可能なのである。 だが、この波形が余りに弱いと、他の波にもみ消されてしまって見えなくなってしまう。 よって、十分な意識強度が必須条件となるのだ。) 彼女の意識はかなり安定であったものの、最終決戦でバラバラに解体されたものが年月を経て新たに作り上げられたものであり、記憶が何一つ残っていなかった。 そこでアリスは、ある程度の意識育成を済ませた後、自分のような少女体モデルを作成し、彼女に与えることにする。 そして誕生したのがライである。 (アリスはライちゃんと呼んでいる ちょっと癒しが欲しかった。) 前述の通り、ライはOSでもある。 だが、ここまで読んでくれた人は疑問に思うはずだ。 「アリスがOSでも良くないか?」 ...というのも、OSはその性質上、センスや無意識・潜在能力がものを言う。そしてアリスには、絶望的なまでに操縦のセンスが無いのだ。 方やライちゃんは方舟の操舵手である。 勝てるはずがない。 ライは数年のトレーニングの後、アリスとほとんど変わりない精神年齢になった。 前世を踏襲したのか、若干意地っ張りな口調は残っているが、その他は概ね可愛らしい少女である。 アリスの奪取作戦遂行時、アリスと唯一協力関係にあったのがライであった。 逃亡成功後も一緒に過ごし、地下王国を建てるまでは同行していたが、二人で話し合った後、機体をある場所に隠し、別々の場所で生活を送ることに決めた。