お姉ちゃんは私に隠してるみたいだけど、魔女の伝承なんて耳に入ってる。 気づかないはずなんてない。人間界にいるなら、必ず聞かされるもの。 「対になるように。」なんて理由で蒼の目になる魔法をかけていたけど… 本当は、お互いの青い目を隠したかったのも、もうわかってるの…。 優しい私のお姉ちゃん。 なんで私に言ってくれないの? なんで私を頼ってくれないの? 私は力不足なの? 私はお姉ちゃんの隣には立てないの? 私、悲しいの。お姉ちゃんから相手にされないのは…。 …お姉ちゃんとずっと一緒にいれないのも。 …お姉ちゃんが不自由な生活を強いられてるのも。 全部全部、魔女って人が悪いのよね。 過去の出来事に文句を言ったって意味がないのはわかってる。 私はその伝承を変えられないし、 私たちは平穏に暮らせないのも、わかってるつもりなの…。 ねぇ、お姉ちゃん、… せめて、死ぬ間際まで、貴方の傍に居させて欲しいな。 何にもできない、足枷みたいな妹からの、ささやかなお願いなの… 行かないで… 記憶の彼方にある、 出来損ないの破滅を招く花畑になんて…。