俺はスラム街の中でも特に貧困の差が酷い所に産まれた。 俺を産んだママは男に逃げられ、俺とママで2人寂しい生活をしていた。 いつも腹が鳴った。『満腹』と言う言葉を俺は知ってみたかった。 あるいつもの日の事だった。今日も時間は日没を過ぎ、俺は床に就こうとしていた。 呑気と思うかもしれないが、俺はママに無理やりお願いを聞いて貰ったんだ。 どうしてでも熟睡と言うものをしてみたかった。その夜、俺の耳元で何か気色の悪い物がカサカサと動く音が聞こえ、俺はふと起きたんだ。 俺の耳元まで迫っていたのは変な虫だった。ダンゴムシみたいだが、大きさが違う。 俺は咄嗟にそのダンゴムシを潰してしまった。ダンゴムシは「ギュピッ」と音を立てて潰れた。 俺がダンゴムシを殺したやいなや白衣を着た謎の男が俺の目の前に現れた。 「誰だ…お前。」 「私?私はしがない科学者さ。」 「そんな事よりさ〜ぁ?君今その虫潰したよね?」 「は?…それがどうした?」 「困るねぇ。私が一所懸命にやっと危険生命体地帯から採ってきた物なのに」 「ちゃんと寄生されて貰わなきゃ困るよ。」 「寄生…?はぁ…?何を言ってるんだお前。」 「そんな生物…ましてや人間に寄生する生物なんて…」 「居るんだよ。現に、君の母親も」 「ほら。」 その科学者と名乗る男は懐から何かを出した。それは明らかな肉塊で、気色悪くグロテスクに蠢いていた。 「コー…ラル…」 「ママ…?ママ…なのか…?」 「そう。君のお母さん。君のママだよ。」 「ニゲ…テ…ニ…ゲテ」 肉塊は、どこからともなく口を生やし、喋りだす。 「うるさいねぇ。こんな口、もぎ取っちゃおうか。」 「は?…おい…辞めろよ…冗談だろ?………ママ!何処に居るんだよ!こんな悪趣味なサプライズは要らない!」 「だから…これが君のお母さんだよ。」と頭をポリポリと掻きながら言った。 「……は?…さてはお前、本当のママの居場所知ってるだろ!言え!吐け!」 「だから…これだって。」 「何度言えば良いのさ。」 「…嘘つくなよ…」 「本当だってば。触って確かめてみる?」 「もういい!お前は話にならない!」 「何処に行くんだい?」 「ママを探しに行く!」 「……それは困るねぇ。」 男はそう言うと、私の頭部を地面に叩きつけた。 「これからある組織を私は作りたいと思っている…そうだな。『魔女の同盟』なんてどうだい?」 「怠惰…色欲…絶望とか、面白いと思わないかい?」 「君には憤怒…いや、強欲になってもらおう。」 「強欲の性格だけを埋めつける。君はこれから見る物全てを欲しくなるよ。」 「初めはこの肉塊だ。十歳の時に殺しなさい。」 数年後、俺はすっかり大きくなった。個人スキルが発現し、私は肉塊を殺した。 俺は本能からママの人格を奪い取った。 その後も俺はスラム街のクズ虫を殺しまくり、終わりが見えない寿命と魔力量を得た。 次見つけた者はエルフだった。 俺が森で見つけたエルフ。 だが、そのエルフにどんな魔法を放っても、全て魔力に戻されてしまった。 俺は拳でケリをつけようと、近づいた。すると、そのエルフに頭を掴まれ、個人スキルをもろにくらった。 すると殺戮衝動が収まり、俺は久しぶりに意思を持った。 そのエルフはサラと名乗った。 俺はこのエルフから離れなければ、意思を持てる。その代わりに幼児化はするが… あの男に復讐をしてやる…と言いたいんだが、サラはあの忌々しい男と条約を結んだ。 「…はぁ…」