黒耀帝国が世界に誇る最強の将、神城煌華(かみしろ こうか)。 彼女は帝国を支える根幹──“黒耀晶”の力を唯一完全に制御可能な存在である。 黒耀晶とは、中央大陸の地下奥深くで発見された未知の鉱素体。 物質と概念の境を曖昧にするその特性から、「世界の理を結晶化した資源」と呼ばれる。 帝国はこの黒耀晶を独占し、律界兵装・空間干渉兵器など、理を超える技術体系を築き上げた。 通常、黒耀晶と直接接触した存在は精神を侵食され、自らの境界を曖昧にしてしまう。 しかし、神城煌華は幼くして世の理を知覚し、十代で黒耀晶に蝕まれる事なく完全な同調に成功した。 その瞬間から、彼女の存在は半ば人間を離れ、黒耀律の媒介そのものとなった。 彼女が戦場に立てば、風は凪ぎ、時はわずかに停滞し、敵は己の存在を疑いながら崩れ落ちる。 黒耀律界とは、理を補正し、再定義する理外の力。その発動の中心には、常に彼女の意志があった。 彼女が率いる“第零親衛軍”は、法と階級を超えた皇帝の直轄戦力。 その旗印が翻る時、敵国はそれを“審判”として恐れた。 しかし煌華自身は、その力を誇示することはない。 ただ静かに、ひとつの理を胸に刻む。 「世界の秩序は崩れゆく。 ならば、私がその終わりを正すまで。」 黒耀晶は、世界そのものを蝕み始めている。もう、全てが手遅れな程に。 それを世界でただ一人知る彼女は、帝国の栄光を守るためではなく、 “理の再定義”──世界の根源的な修復を目的に、己の命を秩序に捧げている。 黒耀軍刀《理断》が抜かれる時、 世界の法則が一条の光とともに断たれる。 その光こそ、黒耀帝国の象徴にして、 世界が「律」に還る瞬間である。