エヴァリー(Everly)(第三暦1407年-)はノスランズ帝国ベリアン朝8代皇帝。 機械工学が高度に発達を遂げた時代のノスランズ帝国を導き、当時の世界でも最先端の技術力を誇った帝国の象徴。人類史で初めての全身機械化を施された人物でもある。治世は100年以上に達する。(第三暦1509年現在) 若くして皇位を継承したエヴァリーは、その温かな人柄で民から絶大な支持を集めた。常に国の繁栄と人々の幸福を願っていると語る彼女は、理想的君主ともてはやされた。 しかし、ウェステンド飛行船墜落事件(1435年)により重傷を負い、昏睡状態に陥る。 ノスランズ帝室は恐慌に陥り、国民は彼女の無事を一心に願った。そして、彼女のため、当時の医学では未知のリスクを孕んでいた全身機械化手術が決行される。前代未聞の大手術は奇跡的に成功を収め、この手術によって擬似的な不老不死となったことを知らされたエヴァリーは、深く動揺したという。後に当時の政治家は「国も民も、彼女の死を受け入れることはできなかったのです」と語った。 だが、その代償はあまりにも大きかった。信頼していた家臣、優しい夫、愛おしい我が子……寿命を持つ彼らは彼女を置いて次々先立っていく。時が流れるごとに、彼女だけが取り残されていった。肉体を維持するには度重なるメンテナンスが必要となり、そのたびに彼女の身体は"人間"から遠ざかっていった。 周囲から気味悪がられるようになった彼女は次第に宮殿に閉じこもるようになり、民の前に姿を見せることはなくなった。容姿の美しさだけは変わらぬまま、しかし、かつて敬愛された若き女帝の面影は、もはやそこにない。 〜繁栄の象徴は未来永劫の帝国と共に〜