今にも崩れそうな吊り橋、木製の吊り橋が風に吹かれて大きく揺れる。 「んっ……、金は持ってるのか?」 吊り橋の前、男がいた。どうやら此処の番をしているらしい、私はその顔を見入る。 「なんだ?、見せもんじゃないぞ」 私は謝罪し、この橋を通りたいと伝えた。 「金を出しな、この橋を渡るには金が要る」 あいにく、私は金銭の一切を持っていない。残るはこの身に纏いし衣服のみ…… 男は、私をつま先から頭のてっぺんまで凝視する。私は固唾を飲んでいた。 「チッ、そういう事かよ……通りな」 ???……私は、不思議そうに男の顔を見た。 「サッサッと行け!、それとも橋底に突き落とされたいか?」 私は小走りで橋に足を乗せる、揺らぐ足元に、頬を撫でる風。私は進まねばならない、この先に行かねばならない。だから私は、男を振り返ってお辞儀をした。 ありがとう……と、言って立ち去った。 「たくっ、厄介なことになるなよ」 橋の向こう岸に消え去っていく背に向けて、男はそう呟いた。 〇〇者、これが意味する事とは何なのか…… 見届けなければ、伝えなければ………私は駆け出す、少しでも前に進むために大きく一歩を踏み締めて駆け出したのである。 https://ai-battler.com/battle/20ebeb77-9c97-4912-bc44-3ecf9fe6ecc9