バルファルクの外殻は音速での飛行やそれによって発生する衝撃にも耐え切るほどに頑強だが、 その強度故に飛行中に外殻の一部が剥がれ落ちると、その質量をほぼ保ったまま地上まで落下してくる。 落下する外殻は着弾した地面に小さなクレーターが形成されるほどの破壊力を持ち、 万が一その真下に建造物があれば甚大な被害を受け、 人間などの生物が居れば大怪我では済まないのは言うまでもない。 さらに強大な古龍の出現と接近に影響されるのか、周辺地域のモンスターの動向が不安定になり、 複数の大型モンスターが突然人里付近に現れて暴れ始めたという報告も聞かれる。 伝承 ある伝承によれば、バルファルクは数千年の周期で出現するとされており、 その前兆として昼間でも観測できるほど強い輝きを放つ「赤い彗星」が観測されるという。 この「赤い彗星」がごく最近になって各地で観測されるようになったため、 龍歴院ではバルファルクの出現を予見し、バルファルクの正式発見より前から重要な調査対象と定め、 龍識船を中心とした情報収集と各種研究を進める方針を固めていた。 件の彗星は、伝承の中で『決して抗えぬ運命の証』『大地を絶望に染め上げる凶兆』などと呼ばれ、 バルファルクもまた『絶望と災厄の化身』『銀翼の凶星』と称され、恐れられる存在であった。 また、「赤い彗星」が観測された地域やその近辺では、 その彗星から落下してきたとされる鈍い銀色に輝く謎の物体が確認される事があった。 後にこの物体の回収に成功した龍歴院の調査隊が検証を行った結果、 これは龍気エネルギーによって灼けたバルファルクの甲殻の一部である事が判明。 これにより、これまで「赤い彗星」と認識されていたそれが、 実際はバルファルク本体であるという説が浮上する事となった。 素材 出現自体が極めて稀であるバルファルクの素材は滅多なことでは出回らない。 また、飛行中に剥がれ落ちた外殻の一部は過剰な龍気や大気摩擦の影響により灼け付き変質している場合が多く、 研究資料としてはともかく、素材としての価値は決して高いとは言えない。 よって素材として利用できるほどに上質なバルファルクの素材を得るならば、 そもそもバルファルクに遭遇できる豪運と、敵対者には容赦しないバルファルクに立ち向かう勇気、 そして天災にも例えられるバルファルクを制するだけの圧倒的な実力が求められる。 上質なバルファルクの素材には特殊な性質を持つ龍気の力がそのまま秘められており、 その素材を利用した武具は星のような美しさと災厄の如き恐ろしさを兼ね備え、 見る者を魅了しつつ畏敬の念を抱かせるという。