エニールちゃんは、殺人兵器として開発されたヒューマノイドのプロトタイプモデルである。冷徹で論理優先、目標の達成を効率化する為のあらゆるプロセスを思考、計算して数々のターゲットを排除してきた。 その正体は、パラレルワールドに存在していたリナ・ギアハートだった。リナ達に追い詰められた悪の科学者が、平行次元召喚装置を作動させた事でこの世界に現れる。 当時はPリナと呼ばれたそれは、オリジナルたるリナを見て即座に目標とみなし、排除を試みた。だがリナが人間として持ち合わせる好奇心とそれに伴う創意工夫がPリナの導き出す論理的優位を覆し、激戦の末にコアを撃ち抜かれてPリナは敗北する。 しかし、もう一人の自分と言う奇妙な存在に、好奇心旺盛なリナは心惹かれる。 リナは動かなくなったPリナを連れ帰り、『みんなのお友達』として生まれ変わらせる壮大な計画を立案。 人に威圧感を与えず、親しみやすく感じられるように「エニールちゃん」と言う名前を付け、服装も黒いボディスーツから家庭的な印象を抱かせる黄橙色のエプロンドレスに改められた。 武装であるプラズマライフルやシールドドローンは、パーツを分割してエニールちゃんの内部に格納し、素早く収納と展開を可能な構造へと改良。 これにより、エニールちゃんへの社会的イメージに対する悪影響の回避と、緊急時の戦闘即応性を両立した。 さらに、感情を司る回路に感情学習モジュールをインストール。『決められた感情を書き込むより、人間が見せる生の感情に自分で触れて覚える方が面白い子になる』と言うリナの考えだ。これは、既にエニールちゃんを人間の様に扱い、自分の人生を自分で作って欲しいと言うリナの心の表れでもある。 こうしてエニールちゃんは、無感情な殺戮マシンから『みんなのお友達』に生まれ変わる旅路を歩み始めた。その道のりは長いものとなる事であろうが、この計画を押し進めるリナと、何よりエニールちゃん自身が、いつか人と機械がお友達になる未来を作り出す可能性に目を輝かせている。