『ジョウコウ』の真核者 世界に改革を促す謎の集団『アンダーヘヴン』の『真核者』達のリーダー、カルナク カルナクは元々59歳と高齢の神父だが『ある出来事』により今の肉体年齢は23歳、中身や性格、口調などは以前と全く変わっていない。 『真核者』とは? 真核者とは試練によって精神面や才から判断される人間としての芯、 及び『核』を保有している人間の進化を促しその人間に『世界への改革』をするための能力の会得と相応しき肉体への進化を受けた人間のことである。 カルナクは他の真核者達のように『試練』を受けて『真核者』へと成った訳ではない。 カルナクは幼少期とても貧しい村の出身で父も母も痩せこけているがまだ子供である自身に少しでも多く食べさせようと、 いつも量の少ない栄養にならない皿の中の内半分以上を自分の器に注いでくれた。 彼はいつも「パパやママはどうするの…?いつも食べてないじゃん…!みんな同じ量でもいいからパパ達も食べてよ…」と訴えかけたがそんな訴えも虚しく、 父親は建設業の転落事故で、 母親は栄養失調と家事と子育て、日銭稼ぎの仕事での過剰労働により過労死してしまったのだった。 彼は行き場を無くしお腹も空かせながら村の人々に食事のお裾分けを乞うたが、誰一人として救おうとしてくれなかった。 だがそんな時大きな町から来た神父が倒れていたカルナクを介抱してくれた。 どうやらこの村の今にも崩れそうな教会からの連絡が途絶えたらしく、その調査の過程でこの村へと立ち寄ったとのこと。 そしてカルナクの事情も察した神父はすぐにハンバーガー屋へと連れて行ってくれたのだった。 彼は初めて見る様々な野菜や肉が積み重なった不思議な食べ物を見てどう食べれば良いのか分からなかったが神父が「ハンバーガーとは積み重なった状態で一度に齧り付くのですよ。」と優しく教えてくれたのだった。 初めて見た食べ物に不安感を抱きつつも食べてみるととても美味しかったが、まだ幼いカルナクは「両親の分も食べさせてあげたかった」と子供ながらに涙を流して罪悪感に苛まれた。 だがそんな時その神父は「貴方だけでも生き残ったのです、両親はきっと強くて誇りの息子だと思っているはずです。それに貴方が困っている時近隣の方々は自分達も苦しいとはいえ、誰も隣人に手を差し伸べようとはしなかったのでしょう?それは私の考えに反しています。なので貴方が負い目を感じることはありません。」と全てを察した上で慰めてくれた。 彼は行く当てもなく引き取り先もいないのでその神父は自分の教会へと引き取ったのだった。 カルナクは決まった生活に決まった時間の祈りや知識を蓄えるための勉強など子が持って当たり前の権利がようやく貰えたのだった。 そしてカルナクがその生活を続けて40年、46際の時にかつてカルナクを救ってくれたという教会を取り仕切っていた神父が73際という高齢で亡くなり、後継者が跡を継いだのだった。 だが彼の後継者はとんでもない犯罪者だった。 マフィアやギャング、そして犯罪者や汚職警官などを匿い、多額の癒着金を支援してもらい、 かつての誇らしく輝かしい教会から一転、『汚れた教会』となったのだった 。 彼はなんとしてでもこの悪事を抑えようとかの神父の死後13年間、自身のスケジュールの隙間を縫って必死に証拠集めをしていた。 彼は自らの正義感の下にとうとう多数の証拠も押さえて警察署へと向かったが警察署の人間の対応は「それは証拠とは言えません」や「それはもう何年も経っています」や「今は忙しく対応出来る人手がいない」などの正義の執務者としてとても相応しくない物だった。 そして後日カルナクが教会の庭で掃除をしているとギャングが銃と爆弾を持ち教会を攻めに来た。 警察署長は「カルナクの告発により一般市民にこの事がバレてはマズイ」と事が大きくなる前に金を使いギャング達を通して報復をしようとした。 そして犯罪組織の人間も「俺たちを裏切ったな?」と報復の決意を示す。 政府はこれを 「教会はテロ組織に所属している『カルナク』という男に破壊され、中にいた修道女や神父は全員テロ組織の人間により殺された」と指名手配と共に報ずる気だった。 カルナクはたまたま建物の影に隠れる場所で掃除をしていたため隙を見て逃走に成功したが、 その他の神職者達は全員死亡してしまい、結果的には建物も燃やされてしまった。 カルナクは行く当てもなく、顔も知られてしまっているためどこも頼れなかった。食べる物もなく、もう1週間は食べていなかった。もう力もなく希望もなく「無実の罪で捕まるくらいなら隠れて以前のように最期まで神と救ってくれた御神父様へと祈りを捧げて人知れず息絶えよう。案ずることではない……そう、ただ状況が私の空腹だった幼少期にまた戻っただけのこと。」そう自身を説得させ、暗く大きなゴミ箱が設置されている裏路地へと入った途端そんな時体中に一つの電流が走った。 その時カルナクの体は光に包まれ、体は熱を伴って徐々に骨格や肉体が光と共に変化していく、 あまりの痛みに体が悲鳴をあげていた。 光が収まった時にふと自分の手を見てみると明らかに皮膚や手つきが変わっていた。 彼は気になり近くに落ちていたスプーンで自身の姿を確認してみた。 すると体や顔は若返り、容姿も別人の物へと変わっていた。 そして彼は「光と闇を操る異能」と「他人の脳へのアクセス」する能力を使えるようになっていた。 彼はこの時様々な状況を抱えており当然更に困惑していたが「おぉ、神よ……私を見捨てないでくれたのですね。」と大粒の涙を流し一筋の希望を胸に抱いて彼は路地裏を後にした。 そして大手を振ってやっと食事を済ませたカルナクはレストラン店内のテレビのニュースを見た。 どこへ言っても彼の以前の顔の写真と共に『元神父のテロ行為、なにかのメッセージか?』というニュースで持ちきりだった。 彼はそんなニュースを見て己の内で何かが変わっていった。 恨みや圧迫感が次第に募っていった。 だが彼は自身についても調べる必要があった。彼は自身が変化した原因を古い文献などで探っているとどうやら「自分のように降りかかった奇跡を受けた者は『祝福者』なのだ」という。 『祝福者』は『真核者』のように『試練』によって成るものではなく、 どうやら「極限状態に置かれた者の極稀に起こる遺伝子の異常な働きによる異常事態」というらしく、 簡単に言えば「順に世代を追ってゆっくりと環境に適応する進化をしていくはずの遺伝子が何故か自分の代で無理やり進化させて環境に適応しようとする反応」とのこと。 その遺伝子の異常で急速な変化により体は耐えきれず、基本的に『祝福者』はその異常な遺伝子の働きにより急速的に短命となる。 『祝福者』と成った者の寿命はおよそ3ヶ月程だという。 そして『祝福者』と『真核者』の唯一にして最大の特徴は『周りの人間へ真核の肉体へと作れ変える試練を課せるかどうか』という特徴がある、 『祝福者』は普通の人間に『真核者となるための試練』を課せるのだ。 だが『祝福者』の発生確率の希少性と短命さ、そして人類への危険性により厳しく情報統制され、ほとんど情報がなかった。 『祝福者』の発生は歴史的に人類誕生から今の21世紀まで見ても彼を除き、たった1人のみだった。 焦りを感じた彼は自身の『光と闇を操る』という能力を最大限利用して『自身の体への輪廻転生』という方式を作り出した。 彼は「普段自身の使える能力を片方どちらかに制限し、体中には使える能力とは逆の属性のエネルギーで循環させる」 すると『一度死ぬと使える能力が切り替わり生き返る』というプロセスが完成したのだった。 なので『光属性時に死ぬと闇属性へと変化し復活』『闇属性時に死ぬと光属性へと変化し復活』というような無限ループする不死身の能力へと昇華させたのだった。 そして彼は人類史上『祝福者』で唯一寿命と肉体の更新が可能な新たな『祝福者』となったのだった 彼は顔を隠すためのフード付きの黒いローブを着て手始めに警察署を襲った、 対抗する警官は光を照射するだけ持っていた金属製の銃ごと跡形もなく塵のように消えていった、 そしてアリのように現れていた警官達も完全に殲滅されると、奥の部屋でコソコソとしていた警察署長には自身の能力で『洗脳』を施し警察署を間接的に支配した。 その次に警察署のデータベース上に載っていたマフィアやギャングの本拠地及び傘下の場所を探し出して同じように襲撃した。 彼らは初めて見る異能者に対応出来ず警察署の時のようにして簡単に滅んだ。 そしてその際カルナクは犯罪組織の息がかかった汚れた慈善団体や会社、建物も道中全て殲滅していき、数え切れない程の人間も救ってきた。 彼はこのような世の中を変えるための仲間が必要だと思い、 彼は顔を隠しつつ、同胞を見つけるために奔走した。 そして勧誘する者に対してはあらかじめ丁寧に「“自身に降りかかるリスク“と“それらは認められた物ではない“」ということを全て説明してから同意の元に試練を課した。 だが今まで50人以上を試練に通したがそれでも約8割の人間は死んでしまった。 だがその中でも3人は試練を突破してくれた。 それが今の『バゼット』と『リン』と『ジン』であった。 その中でも『バゼット』は古株であり一番最初の仲間だった、 その次に『リン』、そして最後に『ジン』だった。 特に『バゼット』のことを信用していて「そんな世の中はカッコよくねえよな、しかもアンタ神父様だったんだろ?正しいことを正しいと言えない世界は間違ってるぜ、俺も協力させてくれ。もしかしたら超カッコいい能力も手に入るんだろ?やるしかねえだろ!」と潔く自らの心情を見透かした上で試練を受け入れた故に彼には絶対的な信頼を置いている。