果てなき戦闘、その果てに何を求める。 視界を瓦礫が遮る、迫り来る瓦礫を左手で受け止めた。しかし、純粋な質量の塊に私の体は押し負ける、咄嗟に横に回避して難を逃れた。 不規則的な視界が管理者を補足する、重心を低く、前方へと向ける。 _____ダッ……!! 爆発的なスタートダッシュで管理者へと距離を詰める、卓越した足捌きで攻撃を掻い潜り、針に糸を通すような繊細な手捌きで管理者の顔面を殴りつけた。 ぐらつく、しかし浅い。 床が吹き飛ぶ、高火力レーザーが瓦礫を消し払う。汗が噴き出る、体が自然と挙動をはじめ、不自然なまでに死を回避する。 この感覚はどこかで一度、体験した事がある。体が脳に支配されていく、精神が肉体を凌駕する絶え間ない高揚感。私はこれを、知っている。 五感がこの場を支配する、心が理不尽を謳歌する。 私は理不尽を、押し付ける。 「貴方に理不尽を、押し付ける」 その言葉に、管理者は訝しげな表情を向ける。 「狂ったかしら?、いやね人間って、直ぐにおかしくなるもの」 私はおかしくない、狂っているのは世界である。だから私は世界に押し付ける、理不尽を押し付ける。 私は微笑む、壊れた笑みが管理者に牙を剥く。 「狂った世界に、さようなら」 ______ボォン………ッッ!!! 管理者の肉体がひしゃげて飛び散る、理解が追いつかない、管理者の思考回路に木霊した。 目の前に迫りくる拳、管理者の顔面を捉える。 _____バァン……ッ!! 見た目では想像できない、重厚な一撃。脳が揺れる、脊髄に染み渡るこの感覚は……。 "圧倒的な恐怖" 崩れた顔に叩き込まれる二打撃目、食いしばる歯が折れ、剥けた頬肉から零れ落ちる。血が止まらない、視界が白濁として定まらない。 次のそれは蹴りであったのか、管理者の肉体が壁に叩きつけられた。一方的、圧倒的なまでの暴力の形跡が管理者の肉体を支配する。 「で、データ解析…中……、対象を補そ…」 膝蹴りが顔面にて爆ぜた。解析が追いつかない、分からない、私はこれを知らない。 "恐怖の感覚" 理解するには時間がかかった、果てなき管理塔、完成前夜。 「削除完了」 そう呟くと同時に対象の脇腹を抉る一撃、これは物理法則に縛られない管理者の一撃。肉体を壊したのではなく削除した、そう表現する方が正しかった。 果てなき管理塔、ここに完成。 最果てに至った管理者、ここに存在。 「最果てにて恐怖し、最果てにて死せ」 最果ての管理者、絶対的な支配的構想の中心、世界を廻す唯一の存在。 「削除完了」