あれからどれ程経っただろう。悪意の残滓はなくならない。それでも── ──それでも私は、戦い続けなくてはいけない。戦わなくていい日が来るその日まで。 理解し合えば戦わなくていい。そう願い続けた。 でも違った。理解し合ったからこそ人々は戦っている。理解しあうだけでは、宇宙は悪意に呑み込まれてしまうだろう。 通信・測位データロスト……?ここは…… 光りに包まれた先は、未知の世界だった。思考を巡らせる。その間にも推進剤は消耗していく。 すでに夜間だった。どこか街の上空。ただそれだけはわかる。着陸を考える余裕はなかった。いや、夜間見知らぬ土地で着陸などできるはずもなく……