____昔々、とある村に男が住んでいた。 その男には妻がおり、二人は仲良く暮らしていた。 だがしかし、その男の妻はいつしか病床に伏していた。 男は考えた。 男には金がなかった。 男には学がなかった。 男にはツテがなかった。 ____だがしかし、 男には力があった。 男は考えた。 かつて妻が話した黄金の眠る山の話を思い出した。 男は決意した。 その日からハンマーを片手に山々を打ち砕いた。 しかし、男がそうしている間にも最愛の妻は死んでしまったのだ。 男は悲しんだ。 男は涙を流した。 男はそれでもハンマーを手放さなかった。 それは悲しみか、それとも後悔か。 男はハンマーを片手に今日も山々を打ち砕く。 実際、追うべき黄金など妻の"かたった"御伽噺に過ぎないのだろう。 だがしかし、それでも男は今でもハンマーを打ち鳴らす。 ____否…… だからこそ、男はハンマーを振り下ろす事を止めないのだろう。 妻の言葉、それを証明する為、男は今日もハンマーを豪快に振りかぶるのだ。