ログイン

波風 稜華

本名:波風 稜華(なみかぜ りょうが) 性別:男性 性格:冷顔豊情、慎重、表情豊か 口調:理路整然な常体口調を好んで扱う 年齢:18歳 発現年齢:10歳 身長:162cm 容姿:緑髪碧眼、容姿端麗 服装:我力者討伐部隊 第十班 隊員制服 (黒を基調とする、隠し機能に透明化) 家族構成:四人家族(母親と三姉弟) 姉弟関係:三姉弟次男 憧れの人:我力者討伐部隊 第一班 隊長      波風華奈、凛華、樹里 趣味:家族と団欒・話す、読書 コンプレックス:過去、我力者相手に何もできなかったこと ──────────────────  俺は、あの日─我力者相手に、何もする事ができなかった。 ◇◇◇  去年のこと。  四人で旅行に行った、帰り道。  俺達は、寄り道で寄った道の駅で、我力者に遭遇した。 ……俺はそれと相対した瞬間、体の底から震え上がるような感覚を覚え、その場から動けなくなってしまった。  恐怖、してしまったんだ。 (だ、だけど…! 家族を護る為にも、そこにいる観光客を救う為にも、動かなければ!)  そう思って前に出ようとした時、姉さんが前に出た。手に「逃げて」付きの合図を添えて。俺達を、守る為に…。  動こうとした体は、すぐに引っ込んでしまった。同時に、その姉さんの行動で安堵感を覚えている自分に、反吐が出た。  さらにその後、兄さんが能力を使って観光客を助けた。ついでのように我力者を討伐した上で。 ……俺は、何もする事ができなかった。 ◇◇◇  俺は、そんな自分を許す事ができなかった。  姉さんに護られて安心したり、我力者と相対しただけで恐怖に縛られたりなど。  なにより…俺は家族を護りたいのに、未だ護られるだけの存在だったのだから。  俺はそれから、我力者討伐部隊に入隊する為、その年の試験に(家族には内緒で)志願していた。  しかしその結果は、残念な物になってしまった。  この試験は『今、この世界で最も難しい試験』と言われている。  だが、落ちるとは全く思っていなかった俺は、酷く狼狽え、驚いた。今住んでいる地域内で、俺は一番強かったと言うのに…。 ……でも、良く考えれば納得はいく。  俺は我力者に相対した瞬間、恐怖に縛られて動けなくなったのだ。そんな奴が一発合格などできる道理など、あるはずもない。  そもそも、地域一なんて世界に比べれば何の自慢にもならない、ちっぽけな称号だ。  そう思い立った俺は、翌年の試験に合格する為に、毎日修行を始めた。その修行は毎日、夜遅くまで続けていた。  そうして修行を進めていた、ある日。  修行場で姉さんと鉢合わせた。…いや、どうやら後ろをつけてきたらしい。 「…姉さん。」 「や、稜華。 こんな所で何してるの?」  姉さんは根は優しいけど、家族に関する話題については(家族間だけとはいえ)つい話してしまうおちゃめ…?な人だ。だから、ここでバレるのは避けたかったのだが…。  しょうがないと思い、白状しようとした、その時、姉さんが先に口を開いた。 「強く…なりたいんだよね?」  その顔は普段の強気な笑みを浮かべる顔とは違い、ヤケに神妙な顔と感じた。 「私も…強くなりたいの。 救えない人を、作らない為に。」  それから俺達二人は、毎日さらに修行の質と量を強化させていった。  姉さんは俺にはない観察眼を、俺は姉さんにはない瞬発力とその場の思い切りをそれぞれ活かして、修行に活かしていったんだ。  そうして、ついに試験の一週間前になった。これから俺は、最寄り駅〜終日駅間を電車で行き、終日財閥の元で試験を受ける。  受かればそのまま部隊の仲間入りを果たして、華々しいスタートを切れるはずだ。  姉さんとあんなに特訓したんだ…!成果はちゃんと出て…合格できるはず!  そう意気込んでいると、姉さんが見送りに来た。 「……。 頑張ってね、討伐部隊の試験。」 ……初めの沈黙には、姉さんなりの葛藤があるのだろう。  我力者討伐部隊は、とても危険な仕事だ。  一般兵など当たり前のように切り捨てられながら、討伐は進む。そもそも…一定の強さを持てていたとしても、相手にする我力者の能力によっては、相性差で一方的に蹂躙される可能性も常にある。  でも、既に決めたことだ。  変える気は、ない。 「じゃあ…行くよ。 受かるの、期待しといてくれ。」  その一言を紡ぎ、行こうとした時。  前方から、兄さんと母さんもやってきた。 「な、なんで。 ここは、姉さんしか知らないはず…!」  その言葉を吐くと同時に、ハッとして姉さんを見る。 「………ごめんね? でも、もしかしたら…これで、会うのも最期になるかもしれないでしょ? それなのに行く前にすら会えないなんて…私にはできないから。」  ずっと、『迷惑をかけたくない』と言って、無意識の内に遠ざけていた。"俺"が心配されたくないから。  でもやっぱり、よくないよな…。  相変わらず姉さんは、俺ができないことをやってくれる…。本当に、憧れるよ。  俺はそれを心に留めると、兄さんと母さんに向き直った。  兄さんは心配そうな顔、母さんは今まで見た中で、最も真剣な顔をしていた。  母さんが口を開いた。 「本当に…行くのね?」 「…はい。 これが僕の、決めた事です! だから─」  一つ、息を吸い込む。 「─だから、俺を見守っていてね。 母さん。」  真剣に、母さんと顔を見ながら、力一杯に言い放つ。胸を張って、背筋も精一杯に伸ばしながら。  その時、俺の背中から暖かい風が吹いた気がした。 「…もう、決めたのね。」  その瞬間、母さんは「ふふっ」と笑うと同時に、頬を緩めた。 「そこまで言うのなら、いいでしょう。 …頑張って、いきなさい。」  そう言い終わるやいなや、俺の背中を優しく、それでいて力強く押してくれた。  不思議と、力が湧いてくる気がした。 「私が言いたい事は…もう母さんと姉さんが言ってくれたから。 …あそこまで言ったなら、頑張ってよ、稜華。」  そう言って、兄さんは何かを差し出した。 「御守り。手作りだけど。 …お、重いとか思うなら、す、捨ててもいいから…!」  兄さんは照れながら、それを無理くり押し付けられる形で貰う。それに苦笑しながらも、感謝する。 「…ありがと。兄さん。 兄さんも、嫌なことがあっても気にせずに自由に生きてな。 ……なんなら、この頼りになる弟を呼んでもいいからさ!」  兄さんは少し涙を流しながらも、微笑む。 「うん…ありがとね。稜華。」 「じゃあ…もう行くよ。」  そう言い、立ち上がる。 「じゃあ、チャチャッと受かって成果を上げてくるから! 吉報でも待っといてな!みんな。」  手を振り、歩き出す。 「あらあら、元気なこと。 ……私がしこたま教えたんだから、すぐに落ちてとぼとぼ帰ってくることにはならないでよ!」 「体は…壊さないでよ!稜華!」 「たまには家に帰ってきなさいよー!」  皆からの、声援が聞こえてくる。  それを聴いていると、不思議と体の底から力が湧いてくるような気がした。 ──俺は再び、宣言する。 「 お う ! 」 ◇◇◇  あの後悔があったからこそ、今の俺がいる。  あの後俺は、無事に試験に受かった。 ……ギリギリ合格だったけどな。第十班、下っ端だな…。  でも、"受かった"ことが大切なんだ。  このお陰で俺は、登り詰めることができる。  さぁ…俺の冒険はまだまだ、始まったばかりだ。  姉さん、兄さん、母さんに応える為にも、頑張らないとな!