神は嫌いだ。 天界で偉そうな態度で下界を見下し、 人の歩みを嘲るような野郎は。 神は救いを与えるって言う奴は大勢いる。 それなら、なぜあんな愚王に尽くしてきた 俺の親父を救わなかった? 国を復興させ、人々の営みを再開させた、 最高の宰相で、たった一人の最高の家族だった親父を俺から奪った? 神は全知全能なんだよな? 全部知っていたんだろ? 俺の親父が王に騙されて職を失い、 奴隷同然の生活を送っていたことを。 俺の目の前で、 俺を守って野党に殺されたことを。 なんで真っ当に生きてた親父は死んで、 性根の腐った愚王は生きているんだ? 力を持つものが、力を持たぬ者を支配し、 操り、そのうえ使えなくなったら捨てる。 力を持たぬ者は何もできず、ただただ 黙って強者に従うだけ。 それが世の理だとかほざく輩はいる。 だがそれは弱者の言い訳だ。 力がないから奪われて、 力がないから蔑まれ、 力がないから苦しんで、死ぬ。 そんな世界、俺は耐えられない。 力がないなら、 どんな手を使ったとしても手に入れてやる。 得体の知れない悪魔と取り引きしようとも。 俺自身が悪魔になろうとも。 清き者が安心して暮らせるように、 悪しき者をこの世から抹消する。 そのためなら、神だって殺してやる。